第376話 26階 熊さんに出会った
一先ず部屋の中がどうなってるか確認しようと扉を開けて外から覗く。
しょっぱな斜めに伸びる花咲く道と、森というには薄い並木道(間隔狭い)で壁っぽいものが作られていた。
これは花道から花道にジャンプして届くのでは?
『こんだけ花があったらー増殖させるだけでいいかもー』
そう言って、部屋中お花畑にしてしまったマリモちゃん。
木々の隙間から見える大きなゆるキャラ風熊さんが、めっちゃ困惑してる。見た目が可愛い感じなので、オロオロしてるの可哀想。
「これ、花咲く森の道じゃなくないか?道消えたが?」
『飛べばいいだろーなのだー』
そう言ってマリモちゃんは天井にも花畑を作った。花咲く森の道が花道花という形だったので、花空間花で代用してるつもりらしい。
空も我等の道なのだー!制空権は我にありー!と、とても荒ぶっている。何がそんなにマリモちゃんのテンションを上げたのか、いまいち理解できなかった。
まぁマリモちゃんの主張が通ったかはわからないが、とりあえず熊さんが待ってるので中に入る。
部屋の真ん中で待っていた熊さんは、可愛い見た目とは違いとてもパワフルだった。
腕の一振で木々を薙ぎ倒し、花畑を荒らしながら俺達の方へ一直線だ。まぁ素早く飛んで逃げるんだが、俺は空中に魔力板を作って移動しているわけで……
2mはある熊さん、3mくらいの高さの部屋、空中で跳びながら逃げる俺……となれば自然と俺の魔力板は部屋の半分ほどの高さに設置されるわけで……
つまり、消え残ってた魔力板に熊さんが突っ込んで胸部か首を強打したっぽい。
いや、逃げてたので見てなかったんだけど、後ろからガッとかケハッとか聞こえたら振り向くだろ?そしたらなんか胸なのか首なのかわからない位置を押さえながら咳き込んでた。
いやぁ、熊さんが自爆で倒されなくて良かった!
「キュー」
危なそうだから回復しておくね。とヤクシが回復魔法までかけたので更に安心。
俺も魔力板は直ぐに消すように気をつけるとして……なんだか熊さんも勢いを無くしてる。
無駄に腕を前でブンブン振りながら駆け足状態だ、よっぽど痛かったらしい。
熊さんの期待を裏切らないように、たまに消え残しを用意してあげると、ホッとすると同時により慎重になる熊さん。
熊って本当に臆病な動物なんだなって思ったけど、この熊さんはモンスターだった。
ダンジョンさんは動物系モンスターは地球の動物に寄せてるので、その通りといえばその通りなんだけどな。
そういうわけで、俺達は無事に熊さんから逃げられた。
因みに、ダンジョン的にアウト寄りのセーフだったらしく、宝箱の中身が人数分のエナドリだった。
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