第373話 24階 ダンジョンカジノ

24階に行く前に、採点にプンスコしてるので休憩を入れる。


甘いものどうぞと買い置きしていたクッキーを出してみると、皆バクバク食べだした。うむ、イライラには甘いものだな!


俺はグレイ作の鰹節を削って味わってる。


厚めに削ってハムハムしながら出汁を味わうのが通な猫ってやつなのだ。


箱に入ったアソートクッキーを食べきって落ち着いたらしいので、探索開始。


「……サプラーイズ!なんとびっくりダンジョンにカジノ!?ダンジョンコイン1枚からカジノで増やして24枚にしよう!ダンジョンカジノは良心的なカジノです!コインが無くなってもプレゼントが無いだけで次の階層にご案内!」


「うにゃ!」


俺の時代きた!


「キュー」


幸運猫に運ゲーで挑むのは無謀。とヤクシがヤレヤレとやっている。


『運ゲーとはー?なレベルで幸運だもんねー』


「ダンジョンが破産するのでは?」



フッフッフッ、もはやこの階層においては幸運ユニークが本体といっても過言ではない。


というわけで、ダンジョンコインとかいうパステルピンクにウサギが刻印されてるコインを持って中に入る。


「カジノという割にスロットとルーレットしかない」


うむ、壁紙や床が大自然な感じだから普通に違和感だし、ポツンと置かれてるスロット台とルーレット台が虚しさを醸し出している。


因みにルーレット台にはディーラー服のドールがいたが、俺はスロットを選択。


視覚系ユニーク持ちなので、目押しを試そうかなって。


というわけで、大きくなって高さ調整した後コインを投入。回る数字と絵柄を見ながら………目で見て押そうと思ったタイミングと押さなきゃってスキルが教えてくるタイミングがずれてる。


もしやこれ、押した後しばらく動くタイプか?ならばスキルに従うしかない!


「にゃ!にゃ!にゃ!」


スロット台を壊さないようなソフトタッチで、しかしその瞬間を逃さないように鋭く、ボタンを押した。


当たり前のように揃った……宝箱マークだと!?スリーセブンじゃないんかい!いや、まぁ、じゃらじゃら溢れんばかりにコインが出てきてるからコレが大当たりなんだろうけど、普通スリーセブンが一番だと思うじゃないか。


いや、ダンジョンカジノだからと言われたらそうなんだけど、それならそれで揃えた時の結果表みたいなの欲しかった。


「普通に24枚超えたんだが?」


数えるの面倒なくらい出てきたのだが、ルーレットのところにいたディーラードールがやって来て、慌てた様子で集計箱と書かれた箱にコインを入れていった。


チーンと昔のレジのような音がして、コインの枚数が表示された。


「200枚か、案外少なかったな」


「うにゃ」


じゃらじゃら出てた割にはな。


「キュー?」


パクってない?ってディーラードールを見るヤクシだが、ディーラードールはやってません!と手と首を横にブンブン振っている。


『クリアしたあとのー景品交換てきなやつはー?』


マリモちゃんが言ったら、ディーラードールがハッとして、何故かクラッカーを構えた。


俺は素早く耳を塞いだが、まぁ猫なので塞ぎきれるもんでもなく、パァンと破裂音が耳に響いた。


それと同時にディーラードールやスロット台等が消えて宝箱が出てきていたのだが、うるさすぎて耳を前足で押さえながらゴロゴロと転がって耳が痛いの我慢していたので正直それどころじゃない。


「みぎゃぁ!」


くそがぁっ!


よいこな猫ミロクにしては荒い言葉が出たが、見逃してくれ。耳元でクラッカーならされたら気持ちはわかってもらえるだろうから。


「にゃ!」


これでつまらんものだったら許さんからな!


因みに、グレイはともかくヤクシとマリモちゃんもくらってると思ったら、ヤクシは魔力ガードで耳を塞いで無傷、マリモちゃんは植物なのでーとか言って無傷だった。


思わず解せぬって顔になったのは許して欲しい。


なんか納得いかなかったが宝箱を開けると、よくわからんものが入ってたので鑑定。


結果、骨格矯正スーツ(寝る時に付けて寝ると1週間で骨の歪みごと矯正される)と『イキイキ元気』というサプリ(骨密度改善&関節機能改善)だった。


これは美容というよりお年寄りに必要なアイテムなのでは?と思ったけど、若いうちから骨格矯正とかしたほうが良いよなって思ったので、ご主人にあげる。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る