第370話 21階 狼と狩人グレイ


普通の探索者パーティーでは難しいお題なんだけど、俺達は……ほら、グレイが居るだろ?


基礎の武器戦闘スキル搭載の万能型ドールであるグレイなら弓も普通に使えるし、人形を守るなら魔法でバリアはっときゃ良いのだ。


部屋の中に入ると、部屋を半分にした左右の真ん中辺りに椅子が置かれ、その椅子にお婆さんと赤ずきんちゃんがそれぞれ座っていた。


因みに、人形はビスクドールのようなリアル寄りの人形で、やっぱり俺は可愛さよりも不気味さを感じた。


それにしても地味に2つを離れた場所に設置するとか、なんて悪質なのだろう。


部屋の真ん中には円形の台座が有って、そこに弓と矢立てに入った矢が大量に置かれていた。


部屋に入った瞬間に10カウントが始まっていたので、グレイは急いで台座に立ち、弓の確認をしている。


俺はちょっと試したいことがあったので、グレイと共に真ん中へ、ヤクシはお婆さんの人形にバリアをはり、マリモちゃんはバリアを蔦で覆っていた。


あまり使わないのでマリモちゃんのバリアはヤクシのと比べると脆いので補助目的の蔦だと思われ。


矢を数本引き抜いて射る準備万端なグレイを尻目に、俺は錬金釜を取り出して矢立てから取り出した複数の矢を投入し、追加で痺れ薬やネジを投入。


出来上がったのが矢尻がネジネジしてる麻痺付与の矢だ、攻撃力もアップしてるぞ!


というわけで、出来た矢を渡したら時間がきて狼が出現、バリアに阻まれて動きを止めた狼を倒しつつ、寄ってくる狼は蹴り跳ばしていくグレイ。


俺は作った矢が反則扱いにならないことを確認してからネジネジ矢を量産していく。


このネジネジ矢はかすっただけでも麻痺らせるので、エイムはそこそこで速度を優先しているグレイ。


因みにヤクシはバリアの枚数をどんどん増やして、どこまで重ねて使えるか実験しているし、マリモちゃんは蔦を篭状に編んだり狼の足を止めるべく床に波打つように這わしたりしている。


「よし、21匹!」


まだまだ沢山の矢を作っていたのに終わってしまったらしい。狼を倒しきった瞬間、作った矢ごと消えてしまった。


「うにゃ!?」


せっかく改造したのに消えた!?


素材も却って来なかったので、地味にショックである。


因みに、この部屋で俺達が取得できるアイテムは、狼の魔石21個とドロップアイテムであるカラコンの箱(30日分)である。グレイが倒したので10箱(それぞれ別色)になってるが、カラコンなんて使わない。


「キュー?」


何でカラコン?と不思議そうだけど、俺は知らん。


『狼がーお婆さんにー変装するーとかいうくだりがあったようなー?』


「まぁ、心当たりと言えばそこしかないな」


あー……いや、変装でカラコン?めっちゃ赤ずきんに疑問持たれるような変装しか出来ない狼のドロップアイテムがカラコン?



ちょっと意味がわかりませんねぇ。

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