第368話 20階 鬼ごっこ


さて、20階なのだが……


「何故急に鬼ごっこ…」


4体のオーガを倒さずに、20分逃げ切るというお題だった。


倒さずにというのがポイントだな!倒さなければ何をやっても良いという解釈で間違いないだろう。


「にゃにゃぁ」


とりあえず、麻痺とバインド試すか。


「キュー」


オーガならバインドで真っ二つにはならないよね。とヤクシは不安そうだったが、たぶんならない。


オーガに麻痺が効くかは知らないけど、下手に攻撃すると倒しちゃうのでHP削らないスキルとか使わなきゃなのだ。


軽く打ち合わせをして、中を確認すると今まで通りの部屋だった。


いや、鬼ごっこするには狭くないか?


「マスターや先輩は小さくなれるからいいが、俺は逃げ回るとなれば微妙だな」


オーガがデカイので部屋が狭く感じる。


まぁ、捕まらなければ良いのだ。マリモちゃんなんて天井に張り付く気満々だぞ?


『天井もージャンプすればー届くかもー』


それでも床側に居るよりは動かなくて良いので天井に居るらしい。というか、皆飛べるんだから天井に居れば良いと思う。


俺はオーガに捕まるほど遅くはないので普通に鬼ごっこを楽しむつもりだ。翻弄してやるぜ!


気合いを入れて中に入ると、4体のオーガが俺達を捕まえようと動き出した。


間髪いれずにヤクシとグレイがバインドを掛け、マリモちゃんと俺が麻痺らせる。


ご丁寧に足にもバインド掛けたせいで4体のオーガが転んで、勢いそのままスライディングで迫って来た。


「にゃ!」


滑り寄ってくるのは予想外で、俺達はピョンとオーガを跳び越えて回避、ゴインッという音に振り返ってオーガを確認すると、バインドにかかってるし、麻痺もしてるが、ちょびっとHPが減っていた。


「痛そうだな」


「キュー」


顔から行ったね。とヤクシがちょっと笑った。


避けたオーガたちは勢いそのまま壁に激突したようで、腕ごとバインドされてるので庇うことも出来ずに顔をぶつけたらしい。


それでもちょっとしかHP減らないんだから、オーガって意外と頑丈なんだと思う。


俺達は放置して天井付近に待機している。だってバインドと麻痺の効果時間がわからないのだ。今まで効果の終わりまでモンスターを倒さなかったことが無かったし、モンスターによって効果切れの時間が変わるっぽい。


そもそも今まで麻痺らせたりしなきゃいけないほど苦戦するモンスターに出会ってない。


長く効けばこのまま天井付近で魔力板に寝そべりながら、20分の時間を潰す。効果が切れたら再度バインドなんかを発動して動きを封じたままにする。


例え鬼ごっことして邪道だと言われようがルール違反はしていないので大丈夫、勝てばよいのである。

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