第366話 18階 不憫ウルフ


「オモチャ通りなら押し込むんだが、普通の皿っぽいんだよな」


悩みながらうろうろして観察してたんだけど、よくわからんので取ろうという話になった。


となれば俺の出番となりそうなんだが、ヤクシが『この場合の当たりとは何か』と言い出した。


いや、犬に襲われるトラップを引くのはハズレでは?


「キュー」


確率低い方が当たりっぽいじゃん。と言われれば、そうなんだけど。


「にゃー」


たぶん幸運さんはその辺融通きくから。


俺にとって良い感じにしてくれるはずだ、たぶん、きっと。


ユニークスキルに不安はないけど、ラージウルフ倒せば終わるのでは?とちょっと思ってるので、忖度されないか不安ではある。


なんにしても俺がやることにかわりはないけど、ちょっと離れた場所からマジックハンドで骨付き肉を掴んで皿から出した。


動きはないのでセーフらしいんだが、幻影のパグが少ししょんぼりしている。ついでに俺を、とっちゃうの?とウルウルした目で見つめてくるのだ。


「うにゃ」


こんなゲームにしたダンジョンを恨め。


所詮この世は弱肉強食なのだ!ダンジョンルールに縛られているラージウルフをおもんばかったりしない!骨付き肉なんてポイポイポーイだ!


最後の1つを残して、皿から骨付き肉を取り出した。


「にゃ!」


よし!


ハズレは引かずに終わったぞ!の、よし!だったんだけど、ラージウルフにとっては食べてよし!だったらしい。


骨付き肉を咥えた瞬間クリア判定が出て消えた。


「……せめて食べさせてやれよ」


グレイが思わずといった風に呟いたが、同意である。


「キュー」


取り出した骨付き肉がアイテムになったよ。と言われて見てみると、確かにアイテムに変化していた。


しかも種類がバラバラだった。これ、成功回数でアイテム個数が変わるやつか…


えーと、アイテムは歯ブラシ2本に、美白歯磨き粉、舌用ジェル、舌ブラシ、液体歯磨き(フレーバー違い)3本、歯間ブラシ50本入りケース………見事に口腔ケア用品だった。


有って困るもんでもないし、ご主人にあげよう。


美容系ダンジョンと言われてるだけあって、アイテムが幅広いんだが、その細かい配慮をもう少しダンジョン内部に向けて欲しい。


さて、19階に行こう。


19階の部屋に入る前にお泊まりするのだ。ダンジョン内にセーフティハウスを設置してお泊まり。


もう17時になるので閉店ガラガラまた明日である。


今日は沢山走ったし、なんか普段と違うダンジョンなので、早めのお休みと最初から決めていた。


ご主人が居ない間の暇潰し兼ダンジョン内お泊まりが今回のダンジョンに来た目的なのだ。


因みに、遠いという点で研究者の屋敷ダンジョン案も出したけど、皆に却下された。


まだちょっと入る気にはならないらしい。


というわけで、パステルブルーのウサギ柄の壁にセーフティハウスを設置しておやすみなさい。

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