第363話 15階 岩跳びではない


15階に到着。


とりあえずピンクの星形壁紙に爪跡を残すことにした。


なぁに、猫の壁登りといえば可愛いけど壁がボロボロになるって有名だろ?だから登るのだ!壁を!そして登ったら降りるのだ!壁を!


そしたら、良い感じに穴が空いて残念な感じになる!


俺くらいの猫になれば、一度上に行ってから横移動も可能!しかもちょっと楽しい!


ビリビリ破るより、ちょっと見苦しいくらいの方が、このダンジョンにはダメージあると思うのだ。


「ここはファンシー水族館ペンギンブース!寒さに負けずに楽しんでね。と書いてあるんだが」


「キュー?」


環境変化階層だったよね?とヤクシに確認されたので、頷いとく。


環境変化階層というのは、寒かったり暑かったりする階層のことで、このダンジョンでも部屋の広さはそのままで、氷の地面になって吹雪いていたり、砂漠で暑かったりする。


うん、まぁ、部屋の広さが変わらない時点であまり意味はない。階層の深さによってその環境の過酷さ度合いが上がり、モンスターの数が増えるだけだ。


ただ、出てくるモンスターが可愛くデフォルメされていて倒し難かった、という意見がチラホラあった。


扉を開けて中を見ると、ひんやり寒い。岩場と雪があり少し吹雪いてる部屋には、5歳児くらいの大きさのペンギンが真ん中で身を寄せあっていた。


「寒さで身を寄せあってるじゃないか」


「うにゃにゃにゃぁ」


名前はペペペンギン、寒さはそこそこ平気、水と土属性、主な攻撃手段はつつくと叩く、泳ぎが得意。


鑑定結果を報告すると、ヤクシが寒さそこそこなの!?と驚いていた。


『泳ぎが得意なのにー岩場だなんてーおかしいねー』


「うにゃ」


ペペペンギンはダンジョンの岩場と海のある階層に出現して、普段は岩場に居るからだと思う。


そもそもペンギンが戦闘向きじゃないけど、地球の動物モチーフモンスターは多いので、参考にした時に何かごっちゃになったんだろう。モンスターあるあるだ。


「キュー」


1ヶ所にかたまってるなら倒しやすくていいね。とか言いつつヤクシが魔法で倒した。


……モンスターの数よりちょっと減ったけどドロップアイテムはあった。


あったんだけど、ファンデーションを塗るときに使うモフモフしたパフが複数、そして青魚由来のサプリメントが1つだった。


確かにペンギンは青魚を食べるけど、ペペペンギンから、青魚サプリが出るのはなんか違うだろ、って思う。

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