第353話 強さ≠難易度


食休みまで終わったので、部屋に入る。部屋の中にはお題の通り、大小様々な宝箱が雑然と置かれてた。


せめて可愛らしく並べればいいのに、本当にランダム配置だ。


「ざっと数えただけで30を越えたんだが?」


「にゃぅ」


めんどくさ。


猫の手でいちいち開けてらんないので、念動使って複数一気に開けていこう。なんか右の端っこらへんが嫌な感じなのでそれ以外はセーフな筈。


「……宝箱の中身入ってるぞ?」


「キュー」


こっちも入ってるよー。


『あれー?宝箱開ける系だとーたまに当たりがある程度じゃー無かったー?』


お題はランダムなので細かく情報は無かったが、系統ごとの分類はされてたのだ。討伐系とか作成系とかだな!


その中で、宝箱を開ける系というのもあって、探索者の中では当たればデカイお題として載ってたのだ。


特にミミックを避けて宝箱を開けるお題は、開けた宝箱にアイテムが入っていることがあって、ミミックを当ててしまってもアイテムはそのまま残るのだ。


「うにゃー」


幸運さんが仕事したんだ。


言えば、皆ですよねーって感じだった。それ以外には無い。


情報的に、全ての宝箱チャレンジに成功して3割アイテムがあれば良い方って感じだったが、今のところ全部入ってる。


「キュ!キュー!」


あ!入ってないの発見!と、既にハズレが当たりみたいな反応されてる。


最終的に、8割程が当たり宝箱だった。ミミックだけ残してすべての宝箱を開けると、階段が出てきた。


「このダンジョン、強さというより難易度が上がってるな」


おっさんとか絶対お題全無視で進めるやつだよな!今までの探索者は魔石によるスキル取得とかしてないし、気配察知とか斥候職くらいしか持ってないだろう。そんな状態で宝箱チャレンジとか本当に運ゲー。


さて、7階は薄いオレンジの水玉だった。もう部屋の壁や天井なんかにしかファンシー要素が無いような気がしてる。


「暴れる沼ワニを可愛らしく飾り立てようというお題なんだが……正気か?」


ユニークだとしてもドールに正気を疑われるダンジョンって、なんか凄いな?


えーと、確か沼ワニって泥を纏った狂暴なワニモンスターだよな?可愛く飾るってなんだ?


「キュー」


入ればわかるでしょ。とヤクシがグレイに扉を開けるよう促した。


そして、部屋に入ると……部屋はファンシーな状態のまま、泥をびちゃびちゃ跳ねさせてジタバタしてるワニがいた。


全長は2mくらいなので、モンスターとしてはそこまで大きくない。いや、高さはないけど丁度目線が俺と合うので、睨みあいが発生してるんだけどな?


「フシャー!」


何ガンたれてんじゃワレェ!


威嚇&やんのかステップでぴょんぴょんしてる。


ワニはワニで、口を大きく開けて鋭い歯を見せびらかしている。


というか、コイツめっちゃ泥だらけなんだが?白猫の俺は泥汚れとかめっちゃ目立つし、長毛だから泥が落ちにくいんだが?


「キュー?」


なんかリボンとか浮いてない?


『ほんとだー洋服とかあるー』


「いや、先ずは水洗いからだ。あんな泥だらけな奴に着せたら大惨事になる。泥汚れは落ちにくいんだ、マスターと睨みあってる今がチャンス!」


そう言って、グレイは魔法で巨大な水球を作り、ワニを水球に閉じ込めてぐるぐると水球を回し出した。


……ワニを洗濯する光景ってレアだなぁ。


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