第348話 ファンシーとは?


とりあえず中に入ろうと、グレイがハート型扉に手をかけたんだが……


「押せば良いのか?」


取っ手が無いから押せば良いと思う。そもそもハート型ってどこに蝶番つけるんだって話。


グレイが扉を押した瞬間、カチッと音がして、ハート型扉が上にスライドした。


「にゃ!?」


上スライドだと!?と驚いてはみたけど、ダンジョンだしハート型だったしで納得はした。


そんで部屋の中なんだが、パステルカラーの様々なブロック……というかでっかい積み木?アスレチックにありそうな2m大の立方体やら円柱やらがランダムに置かれてた。


「キュー?」


規模がデカイキッズルームみたい?と言ったヤクシのおかげで、微妙な既視感の正体がわかった。


そこには子供の代わりに色んな種類のウサギ型モンスターがピョンピョンしてたんだけどな。


「にゃにゃぁ?」


モンスターはファンシーじゃないから全部倒して良いやつ?


「似合わないモンスターだけを倒せだったので、全部は駄目では?」


確かに、ちゃんとお題に対応しているモンスターしかドロップしないから全部倒すのは無駄だけど……ウサギ型モンスターしか居なくない?


『ウサギ型モンスターのー中でー似合わないのをー選べってー?』


「いや、普通にあの黒いウサギとかだと思うぞ?あと牙生えてるのとか」


このダンジョン、1階からファンシーじゃないの解るよね?って押し付けが酷い。


俺にとってウサギ型モンスターはウサギ型モンスターなのだ。


「にゃー」


鑑定さん的に黒いウサギが対応するモンスターだって。


はい、ズルしました!だってわからないんだもん!しかも牙あるのとか血のついた包丁持ってるのとかはファンシー扱いだし!



この部屋に黒いウサギは5匹、皆でなんか納得出来ないと思いつつサクッと倒した。


攻撃はしてこないけど動き回るウサギ達の中から黒だけを攻撃するの案外難しかった。


黒いウサギを倒し終えると、次の階層への階段が現れるんだけど、階段もファンシーだった?なんというか、パステルカラーだったらファンシーという雑ファンシーやめろ?


「うにゃ?」


次の指示はなんだ?


階段を下りた先はまたしてもエントランスだった。ただし、カラーリングが少し違う。赤系だったのが紫系になっていた。


「次は、可愛い仔犬を守って戦え。だそうだ」


犬を守れ!?猫の俺に犬を守れ!?


「キュー?」


どこがファンシー?とヤクシが疑問に思うのも無理はない。2階層目にしてファンシーが関係無くなった!

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