にゃーぅー

第347話 お留守番しない!


今日から5日間、ご主人が遠征で遠くに行くのだ!つまり、ご主人が居ない!


寂しいのは当然なのだが、ちょっとワクドキもしている。


こっそり着いていこうなんて考えてはない!考えてはないが、ずっと家に居るのも違うんじゃないかと思うんだ!


俺はアクティブな猫なので!お留守番といっても家に引きこもるつもりはない!


「にゃぁん」


というわけで、やって来ましたファンシーダンジョン。


因みに、高速道路使って猫馬車移動した。高速道路には探索者用道路があるけど、一応車なので車道を走ったぞ。


んで、ファンシーダンジョンなんだけど50階ある中級ダンジョンで、入るパーティーごとに別空間を用意されるタイプの狭いが深い系のダンジョンだ。


ファンシーダンジョンって名前だけど、探索者の口コミではファンシーがゲシュタルト崩壊とか、ファンシー?とか言われてた。


なんかパステルカラーのおとぎ話風な感じで、たまにロールプレイを強要してくる階層とかもあるらしい。


とりあえずギルドホームページの情報は見たし、なんならグレイが全部覚えてる。


「にゃー!」


いくぞー!


というわけで、出発。


入ってみると、そこはエントランス風になっていて壁は白と薄いピンクの縦縞柄、床はアイボリーと白の市松模様、天井は白でレース柄だった。


そして、ハート型のドアにボードがかかっていて、そのボードにはダンジョンからの指示が書かれていた。


「扉の先にある部屋の中で似合わないモンスターだけを倒せ。だそうだ」


「キュー」


さすが指示厨ダンジョン。とヤクシが言った通り、ファンシーダンジョンの別名は指示厨ダンジョンである。


ただ、指示に従わなかった場合はモンスターに襲われたりトラップが発動したりするだけなので、実力者は無視してモンスターを倒したりトラップの対処をしたりする。


こんなとこに探索者が来るのかって話だが、結構人気なダンジョンらしい。


何故ならドロップ品が美容用品だからだ。しかもドロップされる種類が幅広いので男女共に人気だ。


化粧水が出たと思ったら、自作化粧水の配合キットが出たりもする。


だから化粧品会社の社員とかが業務としてこのダンジョンに入っていたりするのだ。


因みに俺はファンシーダンジョンという名前に釣られて来た。ドロップ品は一応ご主人用に取っておいて、要らなかったら売るのだ。


『ところでーこのダンジョンの壁はービリビリしないのー?』


「にゃにゃぁん」


美意識高めダンジョンだから汚したら追い出されそう。


なんというか、乙女趣味過ぎて触りたくないみたいな心境?なのだ。


俺はここ見て思った。ファンシーなのは遊園地とかだと許せるけど、普通の部屋っぽいところでやると悪趣味みたいになるんだなって。


もう既にちょっと帰りたくなった俺がいる。

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