第345話 9階 彼らの選択
宝石ミニゴーレムを倒した僕らの手には、鉄が3つに宝石の原石が4つもあった。
原石の方はジルコニアとエメラルドとオニキスとピンクサファイアだった。良くわからないけど鉱石鑑定ルーペが表示するんだからそうなんだろう。
「聞いてくれ!出たんだ!」
「お猫様のお陰!」
「ようやく宝石がドロップした!」
大はしゃぎのカロリーバーパーティーがやってきたんだけど………なんだか気まずい。
「おめでとうございます!やりましたね!ミロクじゃなくて皆さんの忍耐強さの成果ですよ!」
「えーと、俺らのほうにも宝石ミニゴーレム来まして……」
「だいぶ出たでござる」
「飼い主の方がお猫様のご利益出たみたいだな」
僕は普通に褒めたのに、皆が正直に話してしまった。
途端にスンと表情を無くしちゃったカロリーバーパーティーの皆さん。
「分かってた、分かってたんだ」
「そもそも俺らドロップ率そこまで良くねぇんだ」
「普通だったら10回掘れば単価は安くても宝石は出る筈なんだ。例え水晶だとしても!」
水晶って宝石分類だったんだ。パワーストーンじゃないのかぁ……
「だが!今回は1個だとしても!」
「ルビーが出たのだ!」
「これぞお猫様パワー!」
………ほら、本人達が納得して喜んでるんだから、余計なこと言わずに祝福するのが正解だったでしょ?
「おめでとうございます!」
「これで帰れるっすね!」
三井君がそう言った時だった、何故か彼らはハッとして、それからしょんぼりしてしまった。
「そうか、帰るのか……」
「お昼ごはん……」
「夕飯……」
「いやいやいや、俺達も夕方には出るんで夕飯は外での予定っすけど!?」
どうやら僕は餌付けしてしまったらしい。やっと帰れるというのに彼らは僕の昼ごはんが食べられ無いことに気がついて落ち込んでいるようだ。
まぁまだまだ昼御飯には早すぎるから、10階中ボス倒して帰ってもまだ早い。
「えーと、お昼ごはんは冷凍餃子とインスタントのワカメスープとテキトーチャーハンの予定なので、普通に外に出てお店でご飯食べた方が良いですよ?」
「「「中華…だと!?」」」
いや、中華というかなんというか……ダンジョンで冷凍食品食べるより、普通の中華屋さんに行けばいいのに…
「依頼が完了したなら即刻報告に行った方が良いのでは?」
「「「うぐぅっ!」」」
安田君の説得が効いてる!
「疲れてるのでござる、早く帰って柔らかな布団で寝るでござる」
「「「………」」」
野田君のも効いてる!
「ファミレス行った方が量食えるっすよ!」
「「「家庭料理が食べたかった…」」」
三井君のは違ったらしい。
「えーと、早く納品しちゃわないと、無くしちゃいそうで怖くないですか?」
「「「帰ります!」」」
おぉ!説得出来た!
ちょっとやりそうだと思ったらしい彼らは、いそいそと10階中ボス部屋に向かって行った。
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