第340話 9階 就寝準備中


でも引っ越すかはダンジョンから出て考えてもらって、デザートのプリンを出しますよー。


「甘いもの平気ならプリンがありますけど」


「「「食べる!」」」


はい。


冷蔵庫から出したプリンを容器そのままスプーンと渡す。盛り付けとかしません、洗い物が増えるだけだから。


素人プリンなので食べられれば良いやと作ったわりに上手く出来てる。



「これが、男子高校生の実力…!」


「神木だけっす!」


「神木氏、ありがとうでござる。片付けは拙者がやるのでお休みになってどうぞでござる」


「三井も騒いでないで片付けやるぞ」



野田君が皿洗いしてくれるようなので、今回新たに持たされた快適グッズを取り出してみる。


……棺桶かな?人が1人入るくらいの長方形の箱で蓋が真ん中で観音開きするタイプだ。


そして蓋の顔の位置に四角く穴が開いている。えーと、説明書を読もう。


「先ずは……あ、これ縦に置いて地面に固定するのか。そして…靴は脱いで、服は着たまま中に入る、蓋の方が顔で蓋を閉めたら……あぁ、中のスイッチはこれか」


なんか左側にボタンがあった。何のボタンなのかは書いて無いんだよねぇ。お楽しみに!とか書いてあるんだけど、説明が欲しかった。


「まぁ試してるはずだし、大丈夫か」


そう思ったので中に入ってスイッチON。


「ちょ、神木なにやってんの!?」


「ござー!?」


「少し目を離した隙に!」


あ、バレちゃった。身動き出来ない僕の前に集まって来ちゃった。


「これね、ミロクに持たされたんだけどさ、たぶん風呂かな」


温かい粘性のある液体が、顔以外を覆って軽くタプンタプン動いてマッサージされてる。


いったいこの箱のどこに粘液が入ってたんだろう?凄く素早く自然に体が包まれてしまったよ?


『チーン!』


このチーンって、聞き覚えあるなぁって思ってたら、うちのトースターの音じゃん。


あれ?僕焼かれた?お風呂ならお風呂らしい音にして欲しかったよ。


「はぁ、スッキリした」


うん、2分くらいかな?服とか髪とかぜんぜん濡れてない、それでいてお風呂に入ったスッキリ感があって、なんとも不思議。


「仕組みとか全くわからないけど、靴脱いで入って閉めてスイッチ押したら2分でお風呂が完了したよ」


「「「わからん」」でござる」


「そうだよね、やってみればいいよ」


皆にも勧めてたら……なんか視線を感じる。


「えーと、良ければ皆さんも使いますか?」


「「「是非っ!」」」


ですよねー。2日はこもってるんだもんねぇ。お風呂入りたいよね。わかるわかる。


風邪引いて風呂に入れないだけでも気持ち悪いんだから、戦って汗かいて汚れて風呂無しは……考えるのも嫌だ。


「あ、じゃあじゃんけんで決めようぜ」


三井君達が順番を決めている間に、心配症なミロクが突っ込んだ予備の棺桶風呂を設置。


「実は予備も持たされてるんだ」


「過保護やべぇな!」


「快適なのは良いことでござる」


「三井はこれに慣れると卒業してから苦労しそうだな」


卒業したらたまにしかダンジョンに入るつもりの無い安田君が、専業でいく予定の三井君に苦笑いしてた。


「ミロクはセーフティハウスあるんだから、神木の持ってる便利グッズは必要無くなって販売に回されるはず!にゃーるBOX持って優先販売もしくは買い取り出来るようにお願いする予定だぜ!」


「伝えておくね。まぁ一応レシピはギルドに売ってるはずだから、錬金術師さん達が頑張れば普通に一般販売されるはず」


作れそうなのはユニーク錬金術師さんくらいしか思い浮かばないけど。


でもミロクなら僕のパーティーメンバーには、卒業祝いでダンジョン快適セットとか言ってまとめてプレゼントしてくれそうだよね。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る