第338話 9階 幸運のために拝む


「大量大量!」


「採掘で翡翠出たでござる!」


「ローリングロックワームを軽く受け止められたんだが?」


三者三様、コメントしながら帰って来た。


僕も丁度デザートのプリンを焼き上げてキッチンに備え付けのミニ冷蔵庫に入れたところだよ。


料理の仕上げは帰ってきてからしようと思っていたからね。


パイで包んだ耐熱カップをオーブンに入れ、パスタを茹でる。野菜は既に炒めてあるから茹でたら混ぜるだけだよ。


量は多いけどいつもの通りに作ったから、味の保証はする。


カロリーバーパーティーも戻ってきたので、テーブルを出してフォークやお茶をセットしていく。


「すみません、テーブル持ってますか?」


「持ってないです!」


「容量小さな収納鞄しかねぇからテーブルとかかさ張るもんは持たねぇんだ」


ですよねー。ミロクから貰った収納鞄が凄いだけですよねー。


「うーん……あ!何故か空の段ボールが沢山入ってるので、それを机代わりにするので良いですか?」


「「「ご飯貰えるだけで有難いです」」」


なんか凄い恐縮された。


「……もしやミロクのリスナーでは?」


三井君がボソッと呟くと、カロリーバーパーティーの皆さんはえへへって感じで笑って誤魔化していた。


「ダンジョン回ってる途中でもしや?と気がつきました」


「失礼なことして副ギルド長とか守護者とか召喚したくないので」


「幸運な猫のご主人に失礼したら幸運が逃げそうなので……むしろ拝んだらご利益があるのか?」


ちょ、待って待って!拝むの止めて!


「拝むならこちらどうぞ!」


寂しくないようにって持たされたミロク人形を出しといた。


因みにこれは家に帰ったらミロクに回収される。本物が居るのにぬいぐるみを持つ意味無いよね?ってことらしい。


高村さんにプレゼントしたぬいぐるみの等身大バージョンで、ポーズ変更できるから招き猫ポーズで段ボールの上に置いておこう。


「なんか変な宗教みたいになってるでござる」


「ドロップ出ないと言っていたからな、今日と明日を逃せばまたカロリーバー生活だ。すがりたくもなるだろう」


「普通は探索中にまともな飯が食えることなんてそうそう無いけどな!」


僕は探索中だからこそしっかり食べるべきだと思うんだけどね。人間的な楽しみを作らないと辛くなるでしょ?


「さて、出来たよー」


ヤクシ布って耐熱性もあるんだねぇ。熱々のカップを持っても熱くないよ。


「魅惑のビーフシチュー~パイに包まれて~と、野菜が彩るペペロンチーノ。因みにこれはグレイから教わったダンジョンレシピだから、僕のネーミングセンスじゃないから」


一応料理名言っとかないとと思ったからいったけど、ちゃんと僕のネーミングじゃないってことも言わないと。


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