第335話 10階リンゴトレント


相談してみたら、高枝ばさみは安田君、除草剤は野田君が使うことになった。


三井君は使えなかったんだよねぇ、この高枝ばさみ武器扱いらしくって杖しか使えない三井君が試してみると、途端にへろへろしちゃう。


僕は移動しながら攻撃仕掛けるから高枝ばさみは合わないんだよね。同じ理由で野田君も高枝ばさみは遠慮した。


というわけで、ガードしながら高枝ばさみで枝を伐りつつ、攻撃していきながら除草剤でトレントを弱体化させるってことになった。


さっそくボス部屋に入ると、絵に描いたようなリンゴの木があって、幹にはこれまた絵に描いたようなホラーテイストの顔があった。


しかしこの顔、ただの模様だ。


僕と野田君が一気に駆けていくと、地面が何ヵ所か盛り上がる、それを避けた瞬間に地面から根が突き出してくるのだ。


これ、初級だから見て回避余裕だけど上級になると地面の盛り上がりとか事前動作もなくなっていきなり突き刺しにくるらしい。


ついでに枝がワサワサブンブンしてるけど、葉っぱがクッションになってるから当たっても大ダメージってわけじゃない。


いや、ちゃんと避けるけどね?


「大縄とびを思い出すでござる!」


「こんな高いジャンプしなきゃいけない縄跳びとかしたこと無いよ!?」


むしろしゃがんで避けてるよ!野田君はそりゃあ軽業系のスキル持ってるからピョンピョン避けてるけどさぁ!


わざわざ避けるために二段ジャンプスキルとか使いたくないし。


「良く見ると顔ってウロでござるな!爆裂玉入れとくでござる!」


避けながら爆裂玉をウロに的確に投げ込んだ野田君。僕は巻き込まれないように反対側へと回ると、破裂音とトレントの悲鳴が聞こえてきた。


「トレントってどこから悲鳴だしてんの!?」


「それは良いから銀戻せ」


爆裂玉を投げると聞いて銀を空間に帰らせてたらしい、トレントの硬直を見逃さない安田君が三井君に銀を戻して畳み掛けろと言っている。


……というか、安田君の周りに伐られた枝が結構落ちてる。え、動く枝をあれだけ落としたの?高枝ばさみの使い方上手くない?


「除草剤まいたでござる!」


「挑発!」


「魔法剣いきます!」


「銀!アイスアローで攻撃!」


最後はなんかトレントが可哀想なくらいオーバーキルだった。


なんか除草剤まいた時点で葉っぱがどっさりと落ちて色も変わってたんだけど、銀が凍らせて僕が風をまとわせたスラッシュで真っ二つとはいかないまでも、それに近い状態にはなってた。


最後は塵になって消えたけど、ボロボロだったなぁ。


ドロップは高級リンゴの箱詰めだったので、これで課題終了。


宝箱は人数分だったけど、中身は同じで野外展開できる高級キッチンBOXだった。


これは手のひらサイズの立方体で、地面に置いて魔力を流しながら展開と言うと簡易なセーフティエリアが付与されたキッチンが出てくるのだ。


「マジかぁ」


「まさか出るとは思わなかったな」


「食材ダンジョンで稀に出てくる宝箱アイテムでござる!オークションに出せば1000万からでござるぞ!」


「まぁ簡易なセーフティエリアとして使えるからねぇ、上級の人達ほど欲しがってるけど、出ないらしいし」


なんで知ってるかって?前に叔父さんが高村さんに自慢してた。食材ダンジョンで手に入れたぞ!って見せびらかしてだけど、数日後…高村さんも、ゲットしたが?って叔父さんにドヤってたから。


ただ、これ…ミロクのセーフティハウスの下位互換なんだよねぇ。


学校卒業したら売ろう。

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