第329話 遠征初日


「にゃにゃにゃ?うにゃ?なぅん?」


時間は大丈夫か?ハンカチは?ギルド免許忘れてない?と、心配そうにうろうろしながら言ってるミロク。


遠征時はお留守番頑張ると言ってたけど、当日出かける前になって不安になってきたようだ。


「大丈夫だよ、持ち物はポーチに入ってるし、ちゃんと確認したから」


もうすでに出る準備万端だよ。


「にゃー」


色々気をつけて行くんだぞ。とか、心配し過ぎでは?僕ってミロクにこんな心配されるくらいダメな子のつもり無いけど?


「わかったよ、行ってくるね」


というわけで、遠征にいってきます!


まぁ学校に集合して電車に乗って新幹線に乗り換えて駅弁食べながらワイワイして、新幹線から電車にかえて駅を出たら歩いてギルドの宿泊施設に到着した。


今日は移動だけで、施設についたらストレッチとかやってコンディションを整えるのだ。


結構鍛えてるのに、何で座ってるだけなのにこんなに疲れるのか、不思議だよね?


夕飯は近くのファミレスで済ませて、風呂は施設の大浴場、明日は早めにダンジョンに入る予定なのですぐに就寝。


免許取るだけの普通の高校生からしてみれば考えられない生活らしいけど、早寝早起きは健康的で良いと思うよ?




朝5時に皆起床。流石にまだ暗いけど色々準備して施設を出て、コンビニで朝ごはん買ってダンジョンまで歩いたら明るくなってきた。


日の光を見てからご飯食べたほうが体内時計狂わなくて良いんだよねぇ。というわけでダンジョン前に朝食。


「んじゃあ、行きますか!」


三井君は朝とか関係なくいつも元気だなぁとか思いつつ、ダンジョンに入る。


課題用だから地図見て正解ルートを突き進みつつ、モンスターは無視出来るものは無視してボスを目指すという計画だ。


食材ダンジョンなだけあってモンスター数はそれなりに多いけど、動かない植物系モンスターも居るのでスルーできるモンスターも居るのだ。


このダンジョン、崖に囲まれた林の中の街道みたいな半フィールド型ダンジョンだ。


林の中は移動出来るけど、崖があるから道から外れることは出来ない。


道が別れてたりして簡単な迷路にもなってるし、崖は登れない仕様なのでショートカットも出来ない。


まぁ地図があるからわかってるんだけどね。


「…そういえば、遠征時の監視ってどうなってるんだ?」


そういえば、遠征ではいざというときの助っ人は居ないって話だったね。それについては各パーティーリーダーに説明があったはず。


「あ!忘れてた!ダンジョン入ったら浮遊カメラ起動すんだった!」


三井くーん!?


三井君は鞄から見慣れたピンポン玉サイズの浮遊カメラを取り出した。


「ミロクのみたいな最新型じゃないぞ?型落ち品で自分達で充電しなきゃいけないタイプ」


ミロクのは設定すれば勝手に充電するし、勝手にミロクの後をついてまわるから、確かに型落ち品なんだろうけど…それでも高いよねぇ?


「なんか首傾げてるけど、格安で買えた理由ってギルド所持の浮遊カメラを一新するからだし、一新するのはドール型浮遊カメラでミロクが作ってるって聞いたぞ?」


「あぁ!あの叔父さん監視ドールカメラか!高村さん、結局ギルドの浮遊カメラを全部あれにすることにしたんだねぇ」


ミロクの指名依頼についてはミロクが話してくれないと、確認とかしないから。


「逆に浮遊カメラが無かったら自分達でカメラ着けてダンジョン入らなければいけなかったのか?」


安田君がちょっと嫌そうに言った。なんか頭に小型カメラを着けて走るのを想像したら、どう考えてもお笑い芸人さんとかのアレしか想像出来なかった。


流石に僕もアレで戦うのは嫌だなぁ、邪魔になりそうだ。

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