第326話 知りたくなかった先生の話


ナンパさんの末路などは考えないことにして、提出した計画書について先生に確認のための呼び出しを受けた。


「計画書を読んだ。課題用とは別のダンジョンで金策するのは構わないが、休日挟まなくて良いのか?」


先生の話を聞いて成る程と思った。


確かにダンジョンに入った後って1日休みを入れることを推奨してたね。


「長期休暇の時とか連日ダンジョンに入ったりしてたんで考えて無かったっす!」


「僕もミロクに付き合ってダンジョン廻りしてたので」


「そこを確認するための遠征課題でござろう」


「2日連続午前中のみの探索ならばあります」


野田君と安田君はわかってて了承してたみたい。


ミロクたちって結構連続でダンジョンに行ったりするから、常識がおかしくなってたみたいだ。


でも、なんかここでやめると猫より精神力とか体力とか無いってことになりそうで嫌だよね。


「そうか、だが無理はしないこと、きついと感じたら早めに申告してリーダーはメンバーの様子をちゃんと確認する事」


「「「「はい!」」」」


「それから、これは遠征には関係無いが神木の猫は動画見る限りじゃダンジョン行く時は長期間ダンジョンに入るが、入らない期間も長めに取ってる。こういう探索の仕方は深層探索の時の負荷軽減に繋がるので慣れておいたほうが良いぞ」



……えぇ?


「ミロク、たぶん深層とか行かないと思いますけど……生活費稼ぐのが目的ですし」


「神木……先生はな、お前の叔父が3年の時に新任として入ったから知ってるんだ。アイツは一度は深層見といた方が良いよな!とか言って絶対お前を深層に連れて行くぞ?」


僕が行くならミロクも来るよねぇ。


「先生大変だったんですね」


叔父さんと高村さんが若気の至りしてた時期に入るなんて、運が良いのか悪いのか。


「うん、そうじゃないぞ?そうだけど、そうじゃない。先生が言いたいのは深層に連れて行かれる可能性が高いから深層探索に備えた方が良いぞってことだ」


「あ、はい!」


そうだった、叔父さんはそういうことやりそうだ。ミロクにも一応言って置かないと猫パンチがひっかくになってカウンター入るかもしれない。


心の準備が出来てれば猫パンチガトリングくらいにはなるかもしれない。


「なんか羨ましいような羨ましくないような感じだな!」


「深層探索は羨ましく無いでござる」


「聞けば聞くほどお前の叔父はヤバいな」


なんか僕のせいじゃないのに野田君と安田君にドン引きされた。でも、三井君はなんか違うと思う。


「まぁ神木の猫の発見で養成学校の教育課程も変更が出てきてるし、深層探索出来るやつも徐々に増えてるらしいから、神木だけじゃなくお前らも備えだけはしておけよ」


「うっす!元々深層には行くつもりなんで!」


「拙者、ギルド職員希望でござるので」


「ダンジョン庁希望なので」



三井君以外は就職希望。前に聞いたとき、ダンジョンに入る暇がなくなるので今のうちにレベルを上げときたいって言ってた。



「……知らんのか?その2つは就職後に深層まで連れて行かれるぞ?ダンジョン関係の公職だから深層を知っておかなきゃならないとかで、完全荷物扱いの深層散歩は試用期間後の名物だぞ?」


「副ギルド長の高村さんが高火力の魔法一発でフロアを掃除していくって有名っすよね!」


「「…………」」


へぇ、知らなかったなぁ。


あれ?野田君と安田君の顔色が悪いかも?まさか、2人とも知らなかったの?うわぁ、それは御愁傷様だ。

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