第325話 息抜きにな……らない
「ごめん、ちょっとミロクが遅い気がするから連絡するね」
「そういえば!全然帰って来ないな!」
ミロクのスマホに電話すると、グレイが出た。僕相手なら話も出来るのにミロクが直接出ないのは珍しいな?
「なんか遅い気がするんだけど大丈夫?」
『あぁ、ちょっと俺が絡まれてな』
「絡まれたぁっ!?」
『うにゃぁん!』
「しつこいナンパだから心配いらない!ってミロクの声がしたけどグレイがナンパされてるの!?」
『あぁ、俺はドールだって言っても信じないうえにベタベタと触るし香水臭いのでマスターたちも逃げるしギャアギャアとうるさくて何を言ってるのか理解出来ないし、何を言っても諦めないんだ、今は電話で離れたんだがまだチラチラと見てくるから高村を召喚しようか悩んでる』
「ナンパで高村さんが出てくるのは可哀想だし、ナンパで呼ばれる高村さんが可哀想だよ!」
ギルド職員さん頑張って!高村さん呼ばれる前に営業妨害とかで追い出して!
「なんか面白いことになってそうでござるな?」
「ギルドでナンパとは…嘆かわしい」
「ミロクがナンパって言ってるだけで普通に野良パ勧誘じゃね?まぁグレイに声かけた時点で出会い厨の可能性は高そうだけどな!」
「もうそのまま電話しつつ部屋に帰っておいで!」
『にゃ!』
なんかミロクがダメ!って言ってるんだけど?
『うにゃにゃ!』
部屋までついて来るかもだからダメ!ってミロクがグレイに言ってるみたい。
『にゃー』
『ふむ、マスターがギルドから出たら空飛んで超速急で帰ると言ってるので、このまま俺達は帰ることにする』
「わかったよ、気をつけてね」
電話を切って、ため息をついた。
「空飛んで帰るって…」
「聞いてた!」
「ミロク氏は神木氏を危険に晒す可能性の排除に余念が無いでござるなぁ」
「それにしてもグレイにはドール証がついていたが見えて無かったのだろうか?」
ほんとそれ、安田君の言う通りなんだよねぇ。
「端から見たら、ドールにナンパ仕掛けてるヤバい人なんだけど……」
「ま、まぁパッと見ドールには見えねぇから!ドールだって申告されたうえにドール証があることにはかわりねぇけど!」
フォローになって無いんだよ三井君。
「……そういえば、ミロク氏は撮影されていたでござろう?」
野田君が何かに気がついたように呟いた。
「拙者らは顔が出ないようにしてくれてるか、編集でカットされるでござろうが、ナンパ氏はどうなるのでござろうか?」
「へ、編集はスタッフさんがやる筈だから!出ない!たぶん!」
自信はないけど!
「野田、たぶんモザイクは入れてくれると思うぞ!」
三井君がサムズアップにウインクまでつけてにこやかに言った。
「ナンパの末路など知ったことではないので続きをやった方が建設的だぞ」
僕は知っている。安田君は何気に危機管理能力が高いから、深掘りして高村さんが危険物排除目的で社会的にやっちゃうかもってのを気付きたくないのだ。
でも僕だって安田君の意見に賛成。
「そうだね」
「ほんじゃあ続きやろうぜ」
「拙者は地図をコピーしてくるでござる」
だいたいのことを調べ終わったし、資料もコピーとったから今日は解散することになった。
翌朝、別サイトに知らないアカウントで投稿されたショート映像で、しつこいナンパにドン引きするドールという動画がバズってた。
ナンパしてる人には顔に申し訳程度のモザイクがかけられてるけど画像処理アプリとかですぐ消せるやつだ。
……構図的にミロクの浮遊カメラだから、きっと高村さんなんだろうなぁ。
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