第311話 キ、キメラさん!?


グルグルと唸り声をあげてるキメラさん。時々聞こえるメェーって鳴き声に気が抜ける。


「にゃーにゃにゃ」


キメラ、火と闇属性魔法あり、ヤギは毒息あり、尻尾の蛇も毒あり、レベルは45。


一応情報を共有しておく。


キメラさん、結構デカイのだ。それに魔法や毒もあるし、今まで戦ったモンスターの中では一番の強敵感がある。


「あ、そんなもんか」


『思ったよりー弱めー?』


「キュー」


6階の隠しボスならこんなものでしょ。


うん、皆余裕そうだ。


実のところを言うと、俺はレベルが高いしヤクシたちはレベル詐欺を疑われるくらい基礎値が高いので同じくらいのレベル帯だと相手にならないのだ。


正直俺だけでじゅうぶんだ。


「にゃーん」


同時に頭潰すとかのギミックも無いから好きにやって。


指示はこれだけなので、ヤクシとマリモちゃんは軽トラサイズに巨大化した。


それでもキメラのほうがデカイ。3倍くらいかな?巨大化してない俺がとても小さくなった気分になる。


「これ回避優先で大剣装備に変えるぞ」


「にゃにゃ」


まぁこんなデカイの受けたくないよな。



タンクとしてのレベルが低いので、さすがに受け止めきれないと判断したグレイは大剣で攻撃するようだ。


因みにグレイの大剣はネタ武器で、見た目は巨大なハリセンだ。効果は確率でスタン又は混乱させる。


……キメラだとどうなるんだろう?


マリモちゃんが棘の付いた蔦でキメラを雁字搦めにしてライオンに殴りかかり、ヤクシが岩の飛礫でキメラの背後から蛇と後ろ足を潰しにかかってる。


グレイは跳び上がってコウモリの顔を切りつけて……スタンが入ったようでコウモリのみ気絶状態だ。


俺はキメラのサイズに合わせて魔法が大きくなるようにチャージして風と水の合成魔法、回転する水とその周りを風が螺旋状に吹き荒れる魔法をヤギに当てる。


「うーにゃー!」


クルクルびしゃー!


ちょうど良さげな魔法名が思い付かなかったオリジナル魔法。暫定的にクルクルびしゃーと命名。


その威力はヤギを通り越して胴体まで抉り穿つ。


………チャージ、し過ぎたかな?


「キュー!?」


倒しちゃった!?とヤクシが驚いた。すまぬ、ちょっとやり過ぎたんだ。


「マスターさぁ……」


『そういうのーマリモちゃんは良くないとー思いまーす』


「うにゃ」


すまぬ。


思ったよりキメラさんが脆かったんだ。俺の予想だとヤギの顔面潰すくらいで、倒しきれるとは思ってなかった。


そう説明すると、レベル差を考えろとか言われた。


はい、レベル差は15とかありますね。


その他、種族特性的なもので大賢者猫は魔法の威力がアップするらしい。


そういえば俺は魔法系の猫だった。


ヤクシたちは消化不良な感じになってしまったので、10階の中ボス部屋で俺の不参加が決定した。


ドロップアイテムや宝箱のために軽く火球を一発入れるだけで手出し無用だそうだ。


甘んじて受け入れようと思いました。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る