第309話 屋敷ダンジョン罠多め


罠活用ドールを倒して先に進もうと思ったんだけど、俺のにゃんこアイは落とし穴の中の壁に隠された凹みを見逃さなかった。


「にゃー」


ヤクシ、あの凹みを調べて。


言えば素直に凹みを見に行ってくれた。そして帰ってきたヤクシの手には小さな宝箱。


「キュー」


隠し宝箱だったよ。とちょっとウキウキしてるヤクシ。


「よく気がついたな」


グレイも感心したように呟いた。ふふん、俺のにゃんこアイは誤魔化せないのだ。


さっそく開けてみると……中級ダンジョンで使える錬金術アイテムを自動で作成する装置の設計図だった。


あれだ、俺のセーフティハウスの鍛冶で使ってる機械の錬金術バージョン。しかもセーフティハウスのやつとは違って中級クラスのアイテムのみのやつ。


「…にゃ?」


…いらなくね?


「マスターはいらないだろうが人間はどうかわからないだろ」


まぁ、確かに?でも材料は必要だし、そこまで大量生産できるわけじゃないし、錬金術スキル持ちはそこそこ居るし、中級ダンジョン程度だし、必要かな?


『まー、ギルドに投げればー良いのではー?』


「にゃ」


それはそう。


「にゃーにゃにゃ」


というか、こんな所に隠し宝箱があるなら探索洩れ宝箱沢山ありそう。


「キュー!」


楽しみ見つけたー!と乗り気じゃなかった探索にウキウキし始めたヤクシ。


俺は逆に憂鬱だ。だって更に気をつけて探索しなきゃならなくなったし、ゲットしたアイテムの鑑定とか結果報告とか増えるってことだろ?


………いや、面倒な書類作成の大半はグレイがやってくれるからそこまで苦労はないんだけど。


「にゃー」


先に進むか。


さて、なんか扉があるから入らなきゃ駄目だよなぁ。なんか学校の教室のドアみたいな引戸だし、罠察知で確認してグレイが慎重に扉を開いた。


ガッ!と音を立てて部屋の中から飛び出してきた矢が向かいの壁に弾かれた。


「扉を開けたら矢が飛んでくるタイプだったようだ」


まぁ、俺達は扉の前には立ってなかったのでスルーだった。


部屋の中をチラ見すると、モンスターは居ないが所々に罠の反応があった。


「解除してくる」


グレイだけが部屋に入って罠を処理。終わってから俺達が入る。


このダンジョンレベルの罠ならたぶん効かないんだろうけど、グレイのスキル上げと一応安全のためだ。


「うにゃにゃー」


10階終わったらモンスターをバッタバッタ倒せるダンジョン行こうな。


「キュ」


賛成。


『マリモちゃんもー賛成ー』


やっぱり罠多めだと進まないしストレス溜まるから、スッキリ暴れられる所に行くことに決まったのだった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る