第302話 時々でちょうど良い関係


別に叔父さんのことは嫌いじゃないんだけど、一緒に住むとかなったら、たぶんイラッとするでしょ?


だからたまに会うくらいがちょうど良いと思うんだ。


「叔父さんは親戚として一緒に住むより、ダンジョンに入りながら高村さんに制御されてたほうが平和だよ」


「まぁ、確かに。家事とか出来なさそうなのでマスターより家のことしなさそうだな」


グレイの納得の仕方が主夫だね。休日にゴロゴロしてて掃除の邪魔だって追い出される父親な感じが余裕で想像できる。


「さすがに猫よりは家事出来るぞ!?」


「叔父さん、ミロクはやろうと思えば洗濯物たためるし、拭き掃除だって出来るし、ゴミの分別とかもやってくれるんだよ?」


「にゃーん」


『やろうと思えば料理も出来るぞ』


……確かに、魔法を使って自分で肉を茹でたりしてるもんね。


あれ?叔父さんって料理出来るんだよね?探索中のご飯自分で用意してるんだよね?


「そ、それくらいは…」


「颯人君、コイツも一応探索者学校卒業してますから、最低限は出来ますよ」


叔父さんは怪しい返事だったけど、高村さんはしっかりしろや!って叔父さんを叩きながらフォローした。


「でも叔父さんはうっかりさんなので最終的に何もするなとか言われてそう」


「そうですね、チームでのお疲れ様バーベキューで肉を忘れた事がありまして、そのあとからコイツに準備を任せなくなりましたね」


肉無しバーベキューとかあまりにも可哀想では?


「キュー」


『粗忽者め』


ヤクシって実は粗忽者を気に入って使ってるのかな?


「ちゃんとダンジョンで肉取ってきたじゃねぇか!いつまでもぐちぐちしつこいぞ高村!」


「お前の取ってきた肉がワニ肉だったからだよ!俺たちは牛肉が食いたかったんだ!」



あぁ……喧嘩が始まってしまった。


「にゃ」


『帰ろうご主人』


「そうだね、鰻も渡せたし帰ろうか」


というわけで、喧嘩してる2人を放置してコッソリ部屋を出た。


一応ギルド職員さんに喧嘩し始めちゃったから帰りますって伝えておいたよ。


「仲良いよね」


『あれはー腐れ縁な気配がしますなー』


「キュー」


ヤクシってば、割れ鍋に綴じ蓋とかどこで聞いたの?


「にゃーん」


「そうだね、高村さんにはこれからも叔父さんをよろしくしてもらわないとね」


それにしても久々の叔父さんは変わらず叔父さんだったなぁ。後で高村さんに時々で良いから叔父さんを小ダンジョンに突っ込んでくださいってお願いしとかなきゃ。


種族を変えた後でレベル100越えてたら種族進化するらしいし、職業も進化するかもだし、絶対自分からは入らないだろうから強制的にやらなきゃ。


なんか世話やかなきゃとかほっとけないとかなるのは叔父さんの良いところだよね。


「たぶん叔父さんみたいなのを愛されキャラとか言うんだろうね」


「にゃ!」


…ミロクから強めの否定が入った。


「うにゃーん」


愛されキャラっていうのは、ミロクみたいなのを言うんだもーん。って前足でペチペチされた。


たぶんだけど、叔父さんはギャグ的な愛されキャラで、ミロクは可愛くて愛されるキャラだよね?


でも、ミロクが可愛いからそれで良いや。

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