第297話 オモチャ箱ボス部屋


さぁボスは何かな?っとワクワクして扉を開けると……サイっぽいモンスターだった。


たぶん本物のサイより小さい、テレビで見た仔サイくらいだと思う。でも角がドリルなサイとかそれだけで脅威。


というか、水牛っぽいやつの角もドリルだったんだけど、ダンジョンさんドリル好きなの?


「なんか固そうだよね」


「初級ダンジョンなので固くてもどうにもなら無いレベル差がある」


『なんならー魔力バリアを貫けない感じー』


「にゃ」


体重差で吹っ飛ぶので避ける。


というか、サイの角がギュイーッって音立てながら回転し始めた!


「うにゃ!?」


それ回るの!?


見た目だけだと思ってたのに!


突進してきたのを避けながら驚くんだが、それはそれとして擦れ違い様に足をひっかく。


……普通に斬れましたねぇ?猫の爪でサイの固い皮どころか骨までスパッといきましたよ?


一応魔力コーティングしてはいるけど普通に爪でひっかいただけなのに切れ味ヤベェな俺の爪。思わずまじまじと自分の前足見ちゃったわ。


「動き止まったし、一応魔法で攻撃するね?」


ご主人はバケツを持ったまま、火球を放った。まぁ、それがとどめになったらしくドロップアイテムに変化した。


「あ、僕がラストアタックでもドロップアイテム出た。これは爪研ぎかな?」


2mくらいの長さがある爪研ぎだった。なんか畳っぽいところがあったり木製のところがあったり高級品の組み合わせみたいなやつだが、残念!俺のお気に入りは段ボールの爪研ぎなのだ!


「にゃ」


段ボールこそ至高。


「うん、でもあって困るもんでもないから置いとくね」


うむ、たぶん爪研ぎじゃなくて落ち着き場所として活用すると思う。なんかちょっと高い場所とか段差とか好きなのだ。


俺はお利口な猫なので、畳で爪研ぎとか罪悪感半端ねぇんだ。大人になったら障子張りの大変さを理解して穴開けとか出来なくなるのと一緒だ。


「キュー」


宝箱開けて。とヤクシに言われて思考を中断。


宝箱オープン!えーと、中身は……


「にゃ!うにゃー!」


勝った!何でも食べられる猫皿(どんぶり)だー!


サンキューダンジョン!欲しかったやつ!


「良かったねぇ、いつものだと何回もおかわりしなきゃだったもんね」


「魔力使うと回復のために食べる量が増えるからな」


「沢山食べてるんだけどね、それでも今日獣医さんにもう少し体重増やして良いかもって言われたんだよね」


「うにゃー」


いつもちゃんと腹八分目、オヤツで調整しよう。


「だよねぇ、食事の回数増やすとかになるからねぇ」


「まぁ、魚の燻製やベーコンやジャーキーが良い感じに出来てるからそれを出そう」


「キュー!」


僕も食べる!と食いしん坊ヤクシが手を挙げた。


「セーフティハウスにマスターが燻製室とか作ってくれたし、もう魔女の家に部屋を借りに行く必要無くなったから大量に作ってある」


ストレージに入れてた肉や魚を一気に処理したから、お手伝いドールを動員して加工工場みたいになってたな。


因みに、ちゃんとお魚ペーストも作ってるし、保存食だけじゃなく料理してストレージに保存してるのもある。

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