第294話 オモチャ箱の異変


とりあえずニャーンと鳴いて集合をかけながら進んだ。


合流が難しいのがフィールド型の嫌なところ。


ん?なんかヤクシっぽい気配がちょっと離れた場所で止まって……見つけたけど、何故か木の後ろに身を隠してコッソリこちらの様子を伺い見てる。


あ、目があった。首をかしげられたので、頷いといた。たぶん、もう大丈夫そう?ってことだろう。


「キュー!キュキュー」


ただいまー!倒したモンスターは魔石しか落とさなかったから魔石は食べちゃった。らしい……まぁ、ヤクシは収納鞄とかストレージ無いからな。


というか、ヤクシが何体倒したか知らんけどドロップアイテム無しとか、確率渋くないか?


「うにゃ?」


何体倒した?


「キュー」


そんなに会わなかったから10体くらい。とな?本当にドロップ率渋くないか?


「あれ?ここってそんなにドロップ率渋くないんだけどな?」


ご主人も不思議そうだ。


そんな俺たちの疑問に答えてくれたのは合流したマリモちゃんだった。


『イレギュラーが発生してるのでー通常とは違う感じにーなってるようだー』


なるほど?イレギュラー…………イレギュラー!?


「えーと、イレギュラーならギルドに連絡入れとかないとだけど」


ご主人がマリモちゃんを見ながらスマホを構える。


『たぶんーイレギュラーモンスターはー2階かなー?』


「流石にマリモちゃん先輩でも何のモンスターかはわからないだろう、確認してから報告しなければ報告にならないのでは?」


『別にーこのダンジョン程度のーイレギュラーならー余裕だけどー』


マリモちゃん、面倒だから密かに倒しちゃって報告しなくて良くない?と言ってるよな?


残念だが、俺たちの行動はリアルタイムでギルドに映像が行ってるんだ。


「僕もそう思うけど、イレギュラーモンスターの発生は報告しとかなきゃだからね、データ取ってるだろうし」


イレギュラーって言ってるのに法則性が無いか探すの本当に矛盾。まぁ、しょうがないよね、人間のやることだもの。


というわけでギルドホームページ見て2階に行く階段を探して発見。


下りると、なんかワンワンニャーニャー煩かった。ついでになんか叫んでる人も沢山居た。


「……うわぁ」


「皆考えることは一緒だな」


休日にペットと一緒にオモチャをゲットしに来た感じだな。


「キュー?」


彼等じゃ大変じゃない?というヤクシの言葉は正しく、ただイレギュラーモンスターを囲みながら騒いでるだけみたいだ。


見た感じ、動物側が制御不能な感じになってるようで、飼い主がペットの名前を呼びながらイレギュラーモンスターの牽制をしている。


ダンジョン内でリードは危ないからなぁ。犬は吠えてるし猫はステップ踏んだり猫パンチしたり逃げたりと騒がしい。



「……ジャイアントパンダって竹を食べるんだったかな?」


「そこじゃない」


うん、なんかご主人のおかげで落ち着いたぞ!


竹林エリアでジャイアントパンダが暴れてて、犬や猫がわちゃわちゃしてるなんて光景を見て、ちょっと現実逃避しちゃってたわ。

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