第285話 深層探索してますよ
まぁ、おっさんに嫌がられるのを見越してアイテムは作ってあるのだ。
「みゃぁ」
『しかし、わからなくもないのでこれをやろう』
黒の陣羽織っぽいやつだ。
背中には白字で『監視カメラドール型』『探索者ギルド』って書いてあるんだ。
「にゃ」
『マー君の追加装備』
「とてもわかりやすくて良いですね」
「にゃ!」
『だろ!』
高村はわかってくれると思ってた!ださい云々よりもわかりやすさだよな!
さっそくマー君は陣羽織を装着、高村が羽を穴から出すのを手伝ってる。
「これ、なんで中途半端な長さで真ん中にスリット入ってるのかと思ったら尻尾か」
グレイが裾を捲って確認してる。尻尾と羽を出す場所はちゃんと作ってるぞ!
『設定の保存を完了しました。これよりサイレントモードに移行します。御用の際は声かけをお願いします』
マー君は高村が細かく設定したせいで保存とかに時間がかかったようだが、無事に終わってウィンドウを消して浮いてるだけになった。
「一応写真を撮ってホームページに掲載しておきますね、もしかしたら他の探索者も欲しがるかもしれませんが…」
「うにゃうにゃ」
『これレシピ、材料とにゃーるBOXで依頼は受ける』
おやつ代も節約せねば。まぁ、いつもはグレイお手製のにゃーるもどきを貰ってるから節約はされてるんだが、本物のにゃーるはまた別だろ?
企業がこれ!と売り出した商品なのだ。ただのお魚ペーストとは違うのだ。
「それはお安い、というかお安すぎるので下層の魔石も付けましょう」
……高村、自分の分のカメラ作成依頼をその場で作って俺に渡してきた。
「お前も欲しかったんか…」
「深層探索についてこれる浮遊カメラが無いので深層の映像資料が無いんですよ。神木の映像は多分本当に映像だけになりそうなので私が深層に行くときに有ればと思いまして」
ん?
「にゃにゃ!?」
『いやお前今も深層行ってるのか!?』
嘘だろ?だって高村ってギルドに来たら殆ど居るじゃん!深層って泊まり掛けなのでは?
「深層でも転移陣さえ開けてしまえば直ぐなので、ちょっとした休憩時間なら浅いところを殲滅するんですけど、休みの日なんかは深層探索してますよ?」
深層ともなると階層ごとに転移陣があるらしく、登録してある転移陣から深層に入って探索して転移陣で戻るらしい。
まぁ、深層は広いので次の階層に行くとかなら泊まり掛けで移動しないといけないらしいが、転移陣の近場で暴れるだけなら1日で行けるらしい。
一応仕事があるので本格的な探索はしてないが、深層探索というか深層での戦闘は鈍らない程度にやってるそうだ。
「キュー?」
『それなら、おっさんもっと頻繁に帰ってこれるのでは?』
「コイツは何も考えずに移動するので、次の階層に行く為に隅から隅まで見て回らないといけないんですよ」
ついでに深層だと一つの階層に複数のエリアボスと呼ばれる個体が居るらしく、おっさん保有の呪いの剣が多いのは、そいつらのドロップらしい。
「深層がフィールド型なのが悪いと思うんだよ俺は!好きでうろうろしてるわけじゃねぇ!お前みたいに磁場とか何とかで方角がわかるやつの方が珍しいんだよ!」
「世の中には方位磁石というものがあってだな……」
グレイ、たぶん言っても無駄だぞ?だって高村が言ってない筈ないだろ?
「キュー」
『その腕に付いてる端末に入ってるだろ』
高村のと同じスマートウォッチ、ホログラムウィンドウタイプな。
ちゃんとコンパスとか便利機能も付いてるんだ。高村はこれで俺の配信見てたけど。
「そもそもマッピングしないんですよコイツ」
それ、俺もしたことないな?いや、グレイがやってるからオッケーだな!それに地図ありダンジョンにしか入らないから問題無し!
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