第280話 目的見失いがち
「うにゃん!」
5階の扉前で待ってたミロクはオコだった。
「遅いとか言われても、先に行っちゃったのはミロクでしょう?」
「にゃにゃ!」
猫が走り出したら飼い主は追いかけるもんでしょ!と前足タシタシしながら言うんだけど。
「走り出して飼い主が追いかけるのは犬のほうが一般的では?」
「猫は瞬発力が有りすぎて一気に突き放されますから、諦めると思いますよ」
ほら、高村さんも言ってる。
なんかガビーンって顔してるけど、ミロクの猫像ってたまに変だよ。
猫と追い駆けっこして遊ぶ印象無いよね?
「それよりレシピ本入れるのここで良いんですか?」
「はい、中ボスでもミロク君の宝箱運なら有り得ますし、なんならミロク君たちは何回かここに入ってますから、その映像を繋げてもいいです」
編集でどうとでもなりますとか言われた。うん、まぁ、情報系ユニーク持ちだし、任せとけば良いよね。
「うにゃ?」
入っていいか?とソワソワしてるミロク。
「そういえばミロクって周りのレベリングだけで、このダンジョンでちゃんと戦闘するの初めてでは?」
「にゃ、うにゃん」
やっときがついたか、俺が自由に戦えるまれな機会を逃すわけないのだ。
「そんなに戦いたかったんだね」
「にゃにゃ」
狩猟本能が大爆発。とか言ってるけど、ミロクって最近このダンジョン以外で結構暴れてなかった?
「狩猟本能の大爆発なら毎日じゃらしでしてるじゃないか」
「グレイ、こういう時は空気よんでスルーしてあげるものですよ」
高村さんがグレイに空気よんでとか言ってるけど、高村さんも空気よまないとき有るよね?
「成る程」
まぁいいや。
「じゃあミロク、開けて」
「うにゃー」
ひらけごまーって肉球をぺとっと扉に触れさせるだけで扉があいた。あれ人間だと自分で開けなきゃなのに動物だと自動ドアになるのはダンジョンさんの贔屓なんだろうか?
人間の時も自動ドアになってくれていいんだよ?地味に重いからさ。
「にゃー」
バリバリするから後ろに居てね。と注意してくれたあとにゴブリンの召喚が終了。
その瞬間、目映い閃光と、少し遅れて轟音が鳴り響いた。
「うにゃ…にゃ…」
カミナリにしようか……サンダーにしようか……と悩んでるけど、どちらでも良いよ。
「キュー」
一歩も動かず格下相手に魔法で一発だから怠惰サンダーとか。というヤクシのネーミングセンスよ。
『どちらかというとーお猫様だからー傲慢サンダーにしようよー』
「うにゃ?」
なんで大罪シリーズ?というミロクと同じく、普通にカミナリ落としとかで良いと思う。
『少なくともー節制とかではないからー』
美徳とか、そういう話?生憎中二病には罹患してないから調べてないよ。
「うにゃ」
ジャスティスサンダー。
「キュー」
ダサい。
『それはないのよー』
「ジャスティスサンダー?今の攻撃のどこら辺が正義なのか?」
「技名なんて無くても困りませんよ?」
「ミロク、宝箱出してレシピ本詰めなきゃだよ」
とりあえず当初の目的だけは果たさないといけない。
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