第275話 ネタ武器は必要


「このドールのスキルレベルが高いのは良いのですが、このレシピ本はこの魔道具で作るためのレシピなのでは?」


高村さんに言われて気が付いた。なんか材料入れたら出来ちゃう系魔道具のためのレシピなら材料しか載って無い可能性があるよね?


そう思ったんだけど、ドールが首を横に振って否定した。ついでにタブレットで普通の鍛冶師でも作れるレシピですって言ってくれた。


「高村さんもしもレシピ本を買うとして、レシピってギルドホームページに載せちゃってますけど、これどうします?買わないなら見なかったことにして身内だけで作成だけするのもありだと思いますけど」


「……レシピ本は死蔵してる魔石で買って私が深層で拾ってきたことにしても良いんですけど、公表しても今居る鍛冶師連中に作れるかって話なんですよねぇ」


ラック値関係というか、ダンジョンの忖度というか、宝箱から出てくるのは開けた人に必要なものが多いから……深い階層のレシピ本とか少ないんだよね。


「低階層で得られたレシピだけでチマチマやってたりするのでスキルレベルが上がって無いんですよ」


『ほらー、人間はー今まで職業ちゃんとしてなかったからー本当ならー生産職でも戦闘職に切り替えてー入れるんだよー?』


……またそこかぁ。そういえば前にマリモちゃんがダンジョンの宝箱は欲しい物を出すとか言ってたね。


戦闘職の人って使える武器が欲しいとか思ってる人が大多数だから、武器が出てくる率が高いんだねぇ。


「……商売上手なドールだな」


なんか頭を抱えてたら、グレイが呟いて僕らにドールの方を見るように言った。


「鍛冶の基本レシピ初級、中級、上級、それに応用編の初級から上級、鍛冶マスターへの道!ですか……その他シンプルいずベストなどのデザインと付与付き武器のレシピ」


「うわぁ、全部ってなったらどれだけ魔石が必要なんだろう?」


「……ミロク君、このレシピ本すべて私が買いますから、ミロク君が宝箱から出したことにしてくれませんか?」


え!?


「うにゃ?」


「何故マスターに?」


「この量のレシピ本は私だとさすがに怪しいです。けど、ミロク君なら幸運だから皆が納得すると思うんですよ、実際宝箱の中身ヤバいの出してるので……スタンダードダンジョンのボス部屋でミロク君の持ってる宝箱に詰め込んで、編集で繋げればいけます」


なる、ほど?


「いや、でもミロクが鍛冶のレシピ本欲しがる理由が……」


「それはほら、ボスドロップで呪われちゃう身内が居るので、間違えないような目立つ剣とか無いかなーとか言っといて貰えれば」


あぁ、叔父さんかぁ…


「うにゃにゃ!」


そうだ、おっさんにこそネタ武器持たせなきゃ!それは同意するけど材料がね……深層のドロップ品とか持ってないから。


「それは後でアイツに指名依頼で材料持ってこさせましょう、どのネタ武器にします?」


高村さんが凄くウキウキしながら変なのにしましょう!と選んでる。


やらなきゃいけないことをとりあえず置いといて、嫌がらせのネタ武器選びを優先するとか……叔父さんは高村さんに1000回くらい謝ったほうが良いと思う。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る