第274話 ミロクが犯人
ギルドに着くと、高村さんが待っていた。
見慣れた高村さんの部屋に入ってミロクたちをリュックから出してササッとセーフティハウスを設置。
高村さんも一緒に中に入る。
そして、生産部屋の扉を開けて武器屋を設定してドールの所まで行って問題のタブレット画面を見せた。
「なるほど、ネタ武器……そうですねぇ大賢者に使える格闘系の武器を見せて貰えますか?」
高村さんは先にどれだけ武器屋が対応出来るか見たいようだ。
まぁ、ドールはタブレットを操作して画面を見せてきたんだけど……これ、検索機能も有るんだね。
格闘系、大賢者用、ネタ武器で検索したらかなり少なくなるみたい。
えーと、ボクシンググローブはネタ枠なの?
鍋つかみとか、毛糸の指無し手袋とか、スライム風グローブ、猫の手グローブ、デカイハートのついたメリケンサック、ウナギパイ風ガンドレット等々。
そういうのはわかるけど、ボクシンググローブもネタ枠?いや、まぁ、ダンジョンにボクシンググローブはおかしいんだけど、一応格闘技に使われる道具だし、ネタでは無いような?
「なるほど、優秀ですね……材料を考えなければ」
大賢者というか、高村さんくらいになると基礎材料にミスリルとかが必要なんだなぁ。
ミスリルで作ってるのに毛糸の指無し手袋が出来るの意味がわからないけど。
でも大賢者で魔法も使うからミスリルなだけで、他の武器ではオリハルコンとか隕鉄とか必要なんだろうなぁ。
「……本当にこの材料でこれが作れるのですか?」
高村さんに聞かれてドールは首肯する。高村さん、めっちゃ懐疑的な顔してるけど、何かあるのだろうか?いや、この材料で見た目が布製品なのはおかしいか。
「作成日数は?」
聞かれたドールはタブレットに入力する。えーと……5時間。
「え!?5時間!?早くない!?」
「うにゃー」
グレイの剣と盾は2時間だったぞ。って早いの知ってたなら教えて………猫が一般的な鍛冶の時間知ってるわけ無いか。
ミロクの錬金術なら一瞬だし、逆に時間かかるなぁとか思ってそうだ。
「どうやら作る物の強さによって作成時間が違うようだ」
ハッ!グレイに翻訳任せちゃった。
ドールは首を傾げてから、何かに気が付いたように後ろの扉を開けた。
……なんか機械あるぅ。
「にゃにゃぁん」
「チンして簡単鍛冶マスターという魔道具だそうです」
今度は僕が通訳出来たよ!
「うにゃー」
「この魔道具のレシピは深層の宝箱から入手可能、らしいですよ」
あれ?これ職業鍛冶師が廃業するのでは?
「にゃにゃにゃぁん」
「鍛冶師の職業でしか使えないし、鍛冶師のスキルレベルでレシピ制限されるけど、これでもスキルレベルは上がるし、スキルレベルが上がればレシピは解放されるらしいです」
良かった、廃業は免れたね!
「……つまり、このドールは鍛冶のスキルレベルが高いということでしょうか?」
ハッ!としてミロクを見ると、目を逸らされた。
「……にゃ」
……ご主人が使うならMAXにしなきゃと思って。とミロクは供述しており、高村さんはそれを聞いて、なら仕方ないですねとニッコリ笑った。
ミロクが関わると途端に駄目になるなこの人。
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