第268話 不人気
まさかのひっかくがクリティカルで一撃だった。
「キュキュー」
猫科って防御力が紙な印象だよね。とヤクシは解釈一致と納得してた。
「そもそもマスターの攻撃力でクリティカルヒットして耐えられるレベルではない」
『頭だったもんねー』
どうやら俺だけが納得出来てないようだ。あんなでかくてカッコいい黒豹っぽいやつがひっかくで終わるなんて思って無かったんだ!
こう、サッと避けられてキャッツファイトにもつれ込む予想だったんだ!
ドキュメンタリーとかで見るライオンとかの縄張り争いな感じでガウガウニャーニャー猫パンチの応酬ってのがやりたかったんだ!
「ドロップは毛皮と牙だな」
拍子抜けではあったが、ダンジョン攻略に来たわけではないので文句は飲み込もう。
「うにゃにゃ」
このダンジョン幸運が仕事しても渋いよな。
だって毛皮が主なドロップ品だし、出ても武器とか素材だし、5階の中ボス宝箱なんて裁縫道具箱だったし。
今回の宝箱も期待は出来ない。
「うにゃ」
はいパカー。
開けると、本というかレシピだった。
毛皮の加工から小物や革鎧やコート等の作成までをまとめたレシピ。
これであなたも革職人!という題名の分厚い本。
「うにゃ」
売ろう。
普通のご家庭で毛皮の加工出来ないし、なんなら錬金術でやったほうが楽。
このダンジョンレベルのモンスタードロップだとヤクシ布に負ける鎧にしかならないし。
「ここのドロップ品を活用してもらいたい圧が酷い」
『ダンジョンってーそういうとこーあるよねー』
「キュー?」
5階の裁縫道具箱ってまさかの革用なの?と言われたので確認してみると、たぶん革用っぽい。
穴あけの道具とか針が太かったりとか良くわからん道具が入ってた。
裁縫道具なら家で使えると思って売らないから詳細な鑑定してないんだよ。名称が裁縫道具箱だったし……
革って裁縫に含まれるんだ……
「うにゃ」
猫にはどうしようもない。
使えないことも無いんだけど、うちで革鎧とか必要かって言われたら要らないし、使ってもらったほうがダンジョンさんも嬉しいだろうから売ることに決定した。
後から聞いた話によると、革製品のハンドメイド作家さんが買ったらしい。
ダンジョン製品なので壊れにくく、市販の道具より楽に作成出来ると大興奮だったとか……ギルド職員がギルドのショップに革製のポーションポーチ並べながら教えてくれたのだ。
そして、俺は動物用爪切り音がしないバージョンを作成した。
したんだが、あんまりにも音がしないので、ご主人が切れたのかわからなくなるとか言って使われなかった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます