第263話 コボルトアサシン狩り


姿勢を低く保ち、足音を立てぬようにゆっくりと移動する。息を殺して気配を自然と同化させる。


我、狩人なり!


生憎と親から狩りは教わって無いが、ネットがあれば猫科動物の狩り映像なんて直ぐに手に入る。


通信教育の成果を今!見せてやろう!



「キュー?」


白いから全然隠れられてないけど?


「ヤクシ先輩……」


『ピンと立ってた尻尾がーへにゃったー』



6階からフロア型になっていて、廃墟が並ぶ町のような階層になっている。


7階への階段の位置は固定だが、そこに行くまでに建物の中や屋根の上からモンスターが奇襲を仕掛けてくるのだ。


モンスターレーダーでコボルトアサシンを発見した俺たちは、気付かれないように近づいて、コボルトアサシンを襲おうとしていた。


……なのにヤクシが気が削がれるようなこと言ってぇ!


「にゃ」


魔法でバーン。


せっかく狩りの見本を見せてやろうと思ったのに、そんなこと言うなら魔法でやっちゃうもんね!


音も派手さもない闇の矢の魔法をコボルトアサシンに放ち、見せ場も何もなくあっさり倒した。


我、大賢者猫であるからして!魔法得意!


「うにゃ」


暗殺術だからハズレ。


「まぁ、ドロップは毛皮とナイフ出てるんだからマイナスではない」


『マスターが当たりでないとかー珍しいよねー』


「キュー」


魔石はモンスターのスキルによるからね。


そうなのだ、モンスターの持ってるスキルによって魔石からゲットできるスキルが変わる…………あれ?モンスターを鑑定してスキルレベル確認すれば狙えるのでは?


「うにゃ」


次行こう。


次のコボルトアサシンで検証しなきゃ!


レーダーを見ながらコボルトアサシンを探して……うむ、気付かれてこちらに奇襲を仕掛けてくるようだ。


「にゃ!ふにゃっ」


見えた!察知スキルが一番高いな。


俺が鑑定し終わったと同時くらいでヤクシの魔法がコボルトアサシンにヒットして倒していた。


そういや、なんも言ってないから普通に鑑定終わるまで待ってくれないよな。間に合って良かった。


んで、今回の魔石はやっぱり察知スキルだった。


「うにゃぁ」


やっぱりスキルレベルが一番のスキルが魔石に出るっぽい。


「キュ」


全部倒すから大丈夫。とヤクシに言われたんだが、何が大丈夫なの?


「まぁ、違ったとしても倒さない理由が無いよな」


『モンスターもーリポップした後はーちょっと移動出来るしーややこしいから倒して行くよねー』



「うにゃ」


それもそうだな。


納得した。いや、俺は良いんだよ?ほら、さっき目的を忘れるな的な感じだったからさぁ。


俺からしてみれば、なんというか……厳選な感じがあるよな?狙ったドロップ出るまで周回とか。


ヤクシもマリモちゃんもあんなに周回とか意味不明って言ってたのに……ようやくわかってきたんだな!


ドロップ率?出るまで倒せば出るんだよ!なゲーマーの気持ちがわかったんなら、もう一人前だ!


「うにゃ」


じゃあ次行こう。


出来れば消音魔石はスキルとしても全員分欲しいし、魔石ガチャの結果次第で周回コース突入だ。


効率良くルート選別せねば!周回は効率化の極みなのである!

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