うへぇ…

第242話 特殊訓練縮めて特訓

放課後の個人訓練室は代表決定戦までにクラス代表が優先的に使えるらしい。


だから僕は三井君に連れられて訓練室に来ていた。


「神木!今日から特訓だな!」


スッゴく良い笑顔で三井君が言った。純度100%善意な笑顔だ。


「ちゃんとミロクにも連絡してるから安心しろ!」


無駄に外堀埋めて……いや、ただの気遣いだよね、わかってる、帰りが遅くなるかもしれないから連絡しといてくれただけ。


「特訓って何するの?」


「それなんだけど、ダンジョンでレベル上げするのと、特別講師と試合しまくるのどっちがいい?」


「特別講師?え、誰?」


「ミロクの操るグレイ、だいたいの職業の基礎くらいは出来るらしい」


…そこに疑問を持たない三井君が凄いよね。


「僕、ミロクの操るグレイがどのくらい強いのか知らないけど」


「大丈夫だ、俺も知らねぇ!」


「何処が大丈夫なの!?」


「大丈夫だって、そろそろ来てくれるぞ」


って、呼んでるの!?


「ここか?颯人様ー?」


「うにゃぁん!」


ちょっと訓練室の扉が開いて、グレイが覗き、その隙間からミロクが入ってきた。


ご主人来たよ!と言いながら僕に抱っこして貰おうと駆け足からのジャンプアタックだ。うまくキャッチ出来て良かった。


たまにミスして鳩尾に蹴りが入るんだよねぇ。


「にゃぁ」


三井がご主人の特訓したいって悩んでたから協力してやるんだ。


「そっかぁ、ありがとうミロク」


「来てくれて感謝だぜ!」


「俺は体を貸すだけなんで」


そういえばグレイはミロクが動かせるんだもんね。


「うにゃ!」


さっそくやろう!ってミロクがノリノリだぁ……


これは新しい遊び感覚だなぁ、飽きるまで付き合ってあげないと拗ねそうだ。


「あ、武器はマスターが作った本物っぽい重さと質感なのに攻撃力はゼロという武器を使うから安心してくれ、当たれば赤でペイントもされる謎仕様だ」


もう既にはっちゃけてる!?なんでミロクがこんなにノリノリなんだろ?


「うにゃ!」


最初はスタンダードな剣士でいくぞ!


ということで、ミロクが操るグレイと戦うことになったんだけど……え、強くない?


「グレイすげぇ!強いじゃん!」


「あー、三井?体を動かしてるのはマスターだから俺が強いわけではないぞ」


「にゃぁ」


ご主人、タイプ変えるぞ。


「うえっ!?」


今まで剣道ベースっぽい動きだったのが、なんだろ?回転を混ぜて遠心力での重い一撃や狙いが定まらない動きにかわった!


「お?おぉ?なんかファンタジーに出てきそうな動きだな!」


「これ、この前どこかの歴史ドラマでやってたやつでは?」


喋るのがグレイだから体の動きと合わなくて混乱する!呼吸しないし!読めない!


「うにゃぁ…」


これもさばけるのかぁ…とか言ってるけど、猫のミロクが操るグレイに攻撃入れられないの、かなりショックだよ!?


「にゃぁ!」


次行くぞ!とか言って、今度は……一定の動きだけなのに攻めきれないのは何!?


「ゲームとかの騎士っぽい動きだな!」


「型通りの動きだけだが堅実で隙がないな」


それだ!でもこれってミロクの動体視力のせいで、こっちのフェイントにも引っ掛からないし、後だしじゃんけんされてる感じだ!


「にゃぁ?」


アニメとかの流派もやる?って言ってるけど、ミロクって映像で見た動きをグレイで再現出来るってこと!?


「うちの猫チートすぎじゃない!?」


「「何を今更」」


三井君とグレイに突っ込まれた。

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