第240話 そっちもこっちも重要案件


翌日、ご主人をお見送りして二度寝した。



そして起きたら知らない場所だった。


「うにゃ!?」


まさか誘拐!?


「あ、起きたのかマスター。ここはギルドの会議室で諸々説明が終わったとこだぞ」



え?ギルドに何か用があっ………たな!そういえば!


俺が起きなかったからグレイがそのまま連れて来たんだな!納得だ!


よく見るとヤクシやマリモちゃんもお話に参加してるっぽかった。まぁ鑑定結果はあるんだし、俺は必要無いっちゃないな。


環境省の人とかダンジョン庁の人とか錬金術協会の人とか沢山いたけど、やっぱり会議を仕切ってるのは高村だった。


「うにゃ」


「使い方や買い取り金額については其方に任せる、とマスターは丸投げで良いようだ」


「にゃにゃ」


「それより売りたい物があるんだそうだが?」


その場の人達なんて知ったこっちゃねぇ!と仮面を出して行く。ついでに鑑定書も書いたぞ。


「おや?仮面ですか?」


「キュー」


ご主人が今さら目立ちたく無いとか言ってたの。とヤクシが言った。


「颯人様が闘技場システムの大会でクラスの代表に選ばれたらしく、勝ちたいけどテレビ放送が嫌だと言うので作った」


あえてヤクシの言葉をそのまま翻訳しなかったグレイはグッジョブだと思う。


「あぁ、あれですか……テレビ放送は少し障りがありますから、匿名での出場も可能にするように伝えときます」


んん?なんか高村がご主人側の提案…というか、決定をしたぞ?


「あの闘技場システムは特区からの物なので、テレビは制限出来ないんですよ……颯人君の両親は特区住まいなので念には念を入れましょう」


あー!


「にゃあ!」


「そんなのも居たな!とか言ってるぞ」


「居たんです。今までネットでもテレビでも特区に君たちの情報は渡して無かったので、名前を聞いて思い出されて騒がれるのも……ねぇ?」


高村はニッコリ笑顔だがなんか黒かった。


でも確かにその通りだ。


というか特区って研究とかの機密情報が多くてネットとかも制限される隔離区域のことだったよな?俺達の今までの情報を渡してないとか…小ダンジョンのことさえ知らないってこと?


え、ヤバくない?


色々なお偉いさんたちも話を聞いていたので見てみると、サッと目をそらされた。


「あぁ、大丈夫ですよ?特区の人達は研究のためなら人に迷惑かけて良いと思ってるような人達で、特区はそういう人達を隔離するための場所ですから」


ついでに言うと闘技場システムも安全性の確認のために、成功したのかわからないうちから人を切ったりしてたらしい。


深層のレシピだと錬金術や鍛冶等複合型レシピになっていて、物は出来てもシステムが不完全だったりするらしい。


そういう感じに人間性がヤバい人達だから情報の制限は必要なんだとか。


「能力的に優秀なので排除出来ないのが残念だと、私は思ってますよ」


高村、それ笑顔で言っちゃダメだと思う。

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