第239話 ご主人の帰宅


「ただいまぁ……」


ぬっ!ご主人が帰って来た!


気付かぬなど不覚!


「にゃぁ……にゃ?」


おかえりなさ……あれ?


なんかご主人が気落ちしてなぁい?


ど、どどどどうしよう!な、何かあったのかな!?はわわわわっ!慰めるのか!?でもどう言えば!?原因!ご主人がしょんぼりしてる原因消さなきゃ!


俺はテンパって、はわわってたが、それに気がついたグレイがご主人にどうかしたかと訊いていた。


そうだ!どうしたのか訊くんだ!


「あー、ちょっと学校でさぁ」


「にゃにゃ!うにゃん!」


いじめられたのか!誰を消せば良いんだ!


「いや、違うけど」


真顔で否定された……!


「なんか数ヶ月前に深層で闘技場システムのレシピを発見したらしくて、そのシステムを作成して実用化できたんだって」



うん?それが、ご主人とどう関係するの?


「事前使用も問題無いってことで、今度は売り出しのために大々的に大会をやるってなったみたいでね」


「うにゃにゃ」


待って、そもそもそのシステムはなんなのか説明して。


「あ、えーと、ゲームとかのPVPをリアルでやれるシステムだって三井君は言ってた」


なるほど?傷とかも勝負が終われば消えるとかそういうやつかな?


「うにゃ」


わかった。


「でね、その大々的な大会は、レベル差とかがあまり無い学生の大会としてやろうってことになって、一先ず探索者養成学校に設置して、学校の代表決めて全国大会やるんだって」


そういう試験的な試みは養成学校あるあるなのでは?


「それで、颯人様は……」


「うちのクラスの代表になっちゃって、今度他の人達と戦うことになっちゃったんだよ……」


「うにゃ?」


そんだけ?


「キュー?」


それでなんでしょんぼりするの?とヤクシも不思議そうだ。


「先生が言うには上級生相手でも勝ち抜ける可能性はあるみたいだし、負ける気は無いんだけど……学校の代表になったらテレビのインタビューがあるんだよね」


ん?


「外国への販売促進の意味も含めて大会はネット配信されるし、テレビ放送もされるんだって……」


あー……


「……勝ちたくないけど手抜きは許されないっ!」


人と戦いたくないとかじゃなくて、テレビが嫌なの?既にネットで顔晒してる上に声はワールドワイドに活躍中なのに?


「うにゃ?」


とりあえず仮面作ろうか?


「……一応、お願いします」


繊細?なご主人のために良い感じの仮面装備を作らねば!


お約束系でひょっとこ、おかめ、能面、翁面、お祭りのヒーロー仮面。


狐は白と黒と赤。


猫は白、黒、三毛、とら、ハチワレ、サビ、等々バリエーション豊富だ。


ついでに鬼面とヴェネチアンマスク等思い付く限りの仮面を作った。


錬金術アイテムだからピタッと密着、視界良好、蒸れ無いうえに防御力+5で変声機能までついている!


ご主人が選ばなかった仮面はギルドで売る予定なので、無駄にはならない。


「……そんな期待した目をされたら白猫仮面を選ぶしかないよね」


「にゃぁん」


お目が高いぞご主人、白猫仮面は何故か追加でラック値+7だ。


ミロクのオヌヌメ!と白猫仮面をご主人に渡した。


これでご主人も一安心だな!……はて?何か忘れてるような?


まぁいっか!忘れたってことはそんな大事じゃなかったんだ!


「にゃぁん!」


大会のためにご主人の特訓しなきゃだな!

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る