第211話 配信者として


職業効果事件から数日。


NG集がバズり、配信者デビューした探索者が増えた。


ギルド的には探索者が配信することを推奨してる。ダンジョン内は監視の目が無いので犯罪しちゃう奴等も居るのだそうだ。


だから、ダンジョン内でライブ配信を行うことで、抑止力になるし、犯罪に巻き込まれた時の証拠にもなるってことらしい。


俺はたぶん幸運が仕事してるから出会う予定は無いが、普段からお出かけの時もカメラ有りなのはそういうことだ。


ただ、基本的に配信素人なのでエンタメとしては微妙だ。ヤクシが選択肢は増えたけど面白いかといえばそうでもないって言ってた。


俺はほら、居るだけで可愛いし?事務所の人が編集して面白い感じに作ってくれてるし、基本的にライブ配信してないからな。


猫の日常動画と猫の戦闘動画、あと最近は幸運錬金術編も作られてた。


ご主人が学校忙しいし、ライブ配信する元気までは無いらしいので、まだ一回しかやったことはない。



やりたいなぁとも思うが、俺がダンジョンに行く時って、一般的には平日の午前中からとかなんだよね。


そう!だいたいは働いているのだ!


つまり、視聴者は少なくなるのでライブ配信でコメントとわちゃわちゃ出来ないのではないか?


だったらライブ配信する意味無くない?ってなるのだ。いや、まぁ、いつも高村とおっさんとご主人にだけライブ配信されてるんだけどな?


高村がたまにリアタイ視聴してるのは知ってる。


ライブじゃないと投げ銭出来ないっぽいし、再生回数を稼いで広告収入で家計に貢献しなきゃいけない身なのだ。


「にゃぁ」


ペット探索者が増えてるんだから、俺もテコ入れして面白い感じにしなきゃ。


「キュー」


大丈夫、普段から面白いよ。とヤクシが言うんだが……別に普段は面白いことしてないが?


「マスター、それってオーガ倒しながら話すことか?」


『オーガ程度ならー既に危なくない相手なのでー?』


「うにゃ」


いや、俺は応援だから何もしてないし。


スタンダードダンジョンのオーガを倒しに来ているが、例によって俺は応援係だ。


だから、今後の配信活動について考えてたのだ。むしろ話に参加したヤクシを怒れ。


「ようやくオーガの攻撃を受け流せるようになったんだから、見といてくれよ」


うむ、どうやらグレイは俺に褒めて欲しかったらしい。


「うにゃ」


よくやったグレイ。


「そうじゃねぇ、タンクとしてどうなんだって話だよ」


間違えた!恥ずかしい……


「にゃ、にゃにゃ!」


わ、わかってるし!


マスターとして褒めるのは間違ってないだろ!

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