にゃにゃぁん
第210話 動画の感想
職業効果などについて、今回は電波ジャックはなく、普通にダンジョン庁からの記者会見で発表された。
同時に、ギルドのホームページに動画が貼られたのだ。
ダンジョン配信事務所公式動画から職業ごとの成功動画とNG集がいくつか投稿されていた。
「にゃぁん」
大賢者が高村だった。
「え、あれ高村さんなの!?凄い怪しい老人にしか見えなかったけど?」
「にゃにゃ」
ああいうのはやりきった方が恥ずかしく無い。
「猫が何を言ってるんだ?」
「グレイ、つっこんじゃだめだよ」
俺は常日頃から感じてるんだぞ?人間的な意識があるから駄目なんだ、猫になりきらないと恥ずかしくて毛繕いも出来ないからな!
「うにゃにゃ」
あと、NG集の5番目がおっさんだけだった。
「あぁ、あれね?ちょっと見て、恥ずかしいやらいたたまれないやらで途中でやめちゃったんだよね」
小道具類は完璧で、メイクも見れる感じになってたんだけど、おっさんの演技力が壊滅的だった。
戦闘は上手いのに、演技になると動きがぎこちなくなる。
ついでにセリフが棒読みだったし、途中にえーとかあーとか呻き声なのかセリフを思い出してるのかわからない声が入ってた。
セリフが完璧に言えても棒読みだった。
オーっホッホッホッ!って平坦に言えるのは逆に才能では?とかよくわからんことを考えてしまうくらいだ。
「うにゃんにゃにゃにゃ」
最終的にゴブリンが鳴き声だけで演技指導に入る珍風景まで撮れていたし、むしろゴブリンの方が演技上手いまである。
「キュー」
最後はゴブリンも、まぁいいでしょうって感じだったよね。
「……最後の方だけ見よう」
ご主人も気になったようだ。
まさかおっさんの演技力があそこまで壊滅的だとは高村も思わなかっただろう。高村のクオリティを見たあとでおっさんを見ると落差に悲しくなる。
上位職になればなるほどハイクオリティを求められてる風だったので、他の上位職動画のクオリティも高いのだ。
上位職動画の中で際立つおっさんの演技力で、ネット上では少々混乱が起こったようだが、NG集が有ったことで無事に終了した。
おっさんレベルの演技力でオーケーなのか他の上位職連中がはりきりすぎたのか問題も、ゴブリンにまで指導されるおっさんにお情けでオーケー貰ったんだなと皆が納得したのだった。
「叔父さん…棒読みがぜんぜんなおらないね」
「にゃ」
本人は真剣にやってるみたいだけどな。
「キュキュー」
途中で高村に電話して弱音吐いてたね。
それな!
「叔父さん、昔…まだじいちゃんたちが生きてた時なんだけど、あの2人に嘘ついたらすぐバレるんだぜーとか言ってたけど、嘘を言う時も棒読みなのでは?」
すぐバレるから嘘は言わなくなった、お前も嘘はやめとけよ!という話だったらしい。
「うにゃん」
おっさんって本当に高村が居て良かったよな。
「ほんと、それ」
きっと高村が居なかったら偉い人とかに喧嘩売って困ったことになってたと思う。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます