ダンジョンのある世界に猫として転生した件

第209話 NG集

パターン1:少し失敗のち成功

顔を真っ赤にした青年が、ゴブリンに向けて槍を構えた。

「わ、わたしの槍さばきをとくと見よ」

「ゴブー」

腕でバツを作るゴブリン。

「くそっ！」

悪態をつき、自棄になったように槍を無駄に振り回してアニメのようにビシッと構えた。

「私の槍さばきをとくと見よっ！」

「ゴーブーッ！グギャ！」

今度は腕で丸を作り、青年に襲いかかったゴブリン。

青年は慌てず、槍をゴブリンに突き刺して倒した。

「…職業効果出ました」

免許証で確認して、カメラに報告。手で顔を覆って恥ずかしさに悶えていた。

パターン2:良くわからないけど納得してくれない。

金髪ロング縦ロールヘアのカツラをかぶって、派手な化粧までしたガッチリ体型の中年男性が、パリィからのシールドバッシュでゴブリンを倒した。

「カウンターは令嬢の嗜みですわぁっ！悪いモンスター様はお仕置きですわよっ！」

そして手をそらしつつ口元に添えて、優雅に叫んでみせた。完璧だ！

しかし……

「……なんっで！職業効果つかねぇんだよっ！？完璧だったろうが！何が悪いってんだ！」

何かがダメだったらしく、職業効果はつかなかった。

ただ、小ダンジョンの攻略報酬でメイクアップのスキルが出てきたので、たぶん化粧がダメだったのだろうと予想が出来た。

パターン3:失敗

スポーツキャップにTシャツ、ジーンズ、リュック姿の女性がゴブリンに向かってポーズを取った。

ピースを作って眼の横にかざしてウインク一つ。

「目と目が合ったら即バトル！行けポチ美！君に決めたっ！」

「ウォンッ！」

そして出てきたテイムモンスターのウルフが、気合い一発ゴブリンに吠えた。

「ごぶごぶ」

ゴブリンは両手のひらを上に向けて首を横にフリフリ。やれやれとでも言いたい感じだ。

「なんで！？えぇ？」

因みに、この職業条件の内容はセリフだけであるが「僕らの絆はお前なんかに壊せない！行け相棒！君に決めた！」が正しいセリフだ。

余計なことをした上でセリフを間違えたのでとてつもなく恥ずかしいことになった。

因みにギルドはNGパターンも一緒に投稿します。

続々と映像が集まって、編集のために確認している配信事務所スタッフやギルド職員たちは、大爆笑だったのだが……

「あなた方もやらないといけないんですよ？」

と、高村が一瞬で現実をみせていた。