第198話 名付け観賞


『名前はカウ子『ひっぱたきますよ?』カウ子の何が悪いって言うんだ!?』


「やっぱり分かりやすく牛子がいいと思うんだよね」


錬金術師さんを見てグレイがマジかよ!?みたいな顔をしたけど、次のご主人の発言に嘘だろ!?って顔をしてる。


「うなぁん?」


グレイって良い名前だろ?


「もしかして牛男が名前候補…」


「あ、うん。でもミロクがグレイにするって決めたんだよ」


「そうか」


わかるぞグレイ、グレイって名前が単純な名付けだと思ってたんだろ?でもな、牛男が先に出てきてみろ?もうちょっとマシですぐに思い付いたのがグレイだったんだ。


俺はちゃんとマスターとしての仕事をしたぞ。


『メイド1号とか名付けるマスターに期待した私が悪かったのです、コメントから名前を募集しましょう』


『カウ子の何がダメなの!?』


どうしてもカウ子が嫌だとか、普通に人間くさいドールだな?


「ドールにしては好き嫌いがはっきりし過ぎてないか?」


「キュー」


たぶん、錬金術師としてのレベルの差が出たんじゃないかな。とヤクシが推測を話してくれた。


俺は錬金術スキルを手に入れてレベル上げしてないうちにグレイを作ったけど、錬金術師さんはスキルレベルが高いし、錬金術のユニーク持ちだし、ドール自体も作成したことがあるから、その辺に差が出てるんじゃないかな?ということだった。


「うん、まぁ、幸運でユニークドール作っちゃっただけだから、その辺は仕方ないよね」


「確かに、コイツはノウハウがある状態ってことだもんな」


でもそのせいできっぱり拒否されてるけどな。


「キュー」


とりあえずコメントに名前候補出しとく、とヤクシが入力した名前は、クロユリだった。


ちょっと普通でもないけど変でもない名前って反応に困る。


『クロユリ、良いですね。マスター私の名前はクロユリにしてください』


『え?クロユリ?こっちのクロコとかの方が………はい、クロユリで決定です』


クロユリ、反対しようとした錬金術師さんに向けて手を振りかぶった。


「にゃぁ」


脅したな。


「脅したねぇ」


「一応、ドールは作成者に危害を加えられない……はず」


「キュー!」


わーい、選ばれたー!とヤクシだけ嬉しそうだ。


『ところでマスター、ユニークドール作成検証と、作成したドールと共にダンジョンで戦闘を行うとなっておりますが?』


『もう疲れたからやらないよ!配信も終了!メイド1号終わらせといてね!』


戦闘と聞いた時点で錬金術師さんは慌てて逃げ出した。メイド1号はカメラに向かって手を振り、サヨナラをすると配信は終わった。


「キュー?」


いつ頃鑑定依頼がくるんだろうね?


「にゃにゃぁ?」


高村のことだから戦闘前に基本スペックの鑑定依頼出しそうだけどな?


「やりたくないことをしなくちゃならない、これが社会人というやつか…」


「グレイ?そうだけど、そうじゃない気がするよ?」



グレイが葛藤を覚えた。


でも俺は思うんだ……俺は猫だからやりたくないことはやらなくて良いんじゃないかって。


ほら、猫は自由気儘な小悪魔的アイドルみたいな存在だろ?ダメか?


俺の人間部分が、高村には世話になってるんだから…って引き受けなきゃいけない気持ちになってるんだよなぁ。


でも同時に猫だから断って良いかなぁ?って、猫らしさを利用して断ろうかな?って狡い考えも持ってるのだ。


元人間だからこその悩みである。

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