第197話 ドール起動観賞
センスの問われるヘアカット。
というか、メイド型だと髪が長い。メイド1号がシーツに包まれたドールを椅子に座らせて髪を整えたんだけど、背中まである。
でも前髪は一直線……なんだろう?平安時代の姫みたいなパッツン?姫カットってヤツかな?揉み上げ部分もパッツンしてる。
『えぇ?もうこれで良くない?乳牛柄を染めろってこと?というかどうやってこんな柄になってんの?』
「毛根から生えてきたわけじゃねぇので」
グレイが俺等のせいじゃねぇみたいな顔してる。でも俺が牛柄にしたくてしたわけでもないんだよ?
「背中まである長い髪で牛柄なのは不思議だよねぇ、途中で白髪と黒髪が交互に生えてるってことだもんねぇ」
そう、黒髪が黒髪のままで牛柄なわけじゃなくて、髪の途中だけ染めた感じに牛柄なのだ。だから白と黒のメッシュに見えるわけじゃなく、どう見ても牛柄なのだ。
『確か、この辺に、髪を染めるアイテムが……………あった!』
なんか錬金術師さんが目薬みたいなの出してきたぞ?しかもそれをドールの頭のてっぺんから滴下した。
そして、頭のてっぺんから黒く染色されていき………黒が多めの牛柄になった。
『なんで逆転したの!?黒の染髪アイテムなんだけど!?』
謎だ。
「キュー」
どうしても牛柄が良いんだね。とヤクシが言うので、ダンジョンさんの趣味という可能性に思い至った。
「にゃぁ」
だよなぁ、俺牛柄とか思って無かったもん。
「ダンジョンさんは、センスが独特だもんね」
ご主人は苦笑いしている。
『えぇ?どうしようも無いじゃん、まだ普通の牛柄の方がマシじゃん』
他の色の染髪アイテムも試したが、どうやっても牛柄になった。
『まぁ変えたって証拠に黒ベースにしておけばいいか』
そして、起動。
目を開けて錬金術師さんを見た。
『…はぁ』
ため息である。
「おい、ため息ついたぞあいつ」
「えぇ?」
こちらもなんだか困惑気味だ。
『私も仕えるなら猫が良かったのです』
『しょっぱな失礼なんだけど!?』
『…はじめましてマスター、名前の登録をお願いします』
『無かったことにした!?それとも無視されたの!?』
『名前』
『え、名前……メ『メイド2号とかセンスない名前ならひっぱたきます』ちょっと考えさせてください』
え、強っ!
「ドール?だよね?」
「俺とはだいぶ違うな」
「うにゃ」
ユニークが仕事したかもしれない。
メイド1号もそんな気配あっただろ?基本的に自己判断が出来るとしてもマスターには従う方向で動くけど、錬金術師さんの指示を拒否しただろ?
画面越しだと詳しく見れないから残念だ。
錬金術師さんが名前を考えてる間に、ドールは着替えて、高村からの依頼書などを読んでた。
『成る程、今この瞬間も配信されているのですね?ユニークドールの再現ですか、確かに検証は必要でしょうが…メイド型として作成した場合の可能性、なかなかの目の付け所でございますね。副ギルド長……なるほど、マスターの知識によると頼りにはなるけど厄介でかかわり合いたくないお方のようでございますね。是非ともお会いしたく思います』
「にゃっ!」
キャラがこゆい!
「僕、気がついちゃったんだけど、きっとミロクとグレイはあのドールさんと会うことになるよね?」
俺とグレイはハッとなった。
「うにゃ」
鑑定に呼ばれる。
「いや、マスターが居れば済むはず、俺は必要無いだろう?」
グレイ、嫌だという感情を学習したんだな。でも嫌だで済まないのが社会というやつなのだ。
「にゃぁ」
道連れだ。
「……はい」
俺だけで会うなんて無理だから、グレイが頑張って!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます