第192話 光る右ストレート観賞


『しかもその呪いが!ドロップ品が魔石になる呪いだなんて!下層モンスターの希少ドロップ品が魔石に!なんて勿体ないことを!』


うわぁ……


「なんか、ますます申し訳ない」


「うにゃぁ」


というか、復帰直後に下層に行くな。


「キュー」


オジさんだから仕方ないよ。ってヤクシは言うんだけど、あれでもご主人を気遣う唯一の身内なんだぞ?お嬢様なユニークスキルがあるといっても軽いとこからリハビリさせたいじゃないか。


『それよりなにより!』


高村の拳にバチバチと雷が纏われる。


『身内に連絡と謝罪してからダンジョンに行けや!自己中野郎がぁぁっ!』


怒りを込めた右ストレートがレッドオーガにクリティカルヒットして、雷鳴が轟き、雷光が眩く画面を白く染めた。


「うわぁ、黒焦げ……あ、消えた」


高村は宣言通り、レッドオーガを炭にして倒した。


そして、カメラ目線でいつもの営業スマイル。


『この配信を見ているミロク君の動画は後程編集して投稿します』


あ、そういえば。垂れ流し映像見れるのはご主人とおっさんと高村だけだったな!


コメントでも納得とか、それがコラボか!とか言われてる。


『あと、私が叫んでいた内容については深掘りしないことをおすすめします』


おぉ、ラスボス笑顔。


「急に威圧してくるぅ…」


ご主人がビクッとなった。


「にゃ…」


「キュー…」


俺とヤクシは何故か静電気でボワッとなった。


高村、画面越しに電気で威圧かけてるな?だから俺とヤクシがボワッとなったんだ。


今動くとバチッときそうでやだなぁ……いや、俺も雷魔法使えるじゃん!


魔力でサッと静電気を静めた。ついでにヤクシのもやってあげたぞ!


『とりあえずあなた方はギルドで事情聴取受けて帰ってくださいね』


あ!イレギュラー遭遇者の2人!存在忘れてた!


高村に言われて凄い勢いで首を縦に何度も振りまくってる。


『『あ、ありがとうございました!』』


『はい、私はまだまだ発散したり無いので行きますね。……最近は誰も居ないところで雷撒き散らしてモンスターが逃げ惑う様子を見ないとスッキリしないんですよねぇ』



なんか、最後怖いこと言いながらダンジョンの奥に消えてった。


「高村さん、疲れてるんだなぁ」


ご主人が心配そうというか申し訳なさそうというか、複雑そうな顔して呟いたけど、やっぱりツッコミ所が違うと思う。


「キュー」


「そうだね!ミロクグッズを渡せば元気になりそうだね!」


「にゃ」


仕方がない、ミロク錬金ぐるみ等身大バージョンを作成しておくか。


こっそり中にリラックス効果のあるアイテムでも入れとこう。高村に必要なのは癒しだ。

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