第190話 ダンジョン配信観賞


「でも、午後から何しよっかな?」


「にゃ」


レポート終わらせれば良い。


「そうしよっかな、今から寝るのはちょっと夜寝れなくなりそうだし」


そう言って、ご主人はリビングテーブルにレポートを広げた。


邪魔しちゃ悪いので、膝に乗って伸びるだけにしとこう。


「キュー」


ヤクシは最近はまってるダンジョン配信を見るらしい。


この世界の日本だと、だいたいの人達がダンジョンに入ったことがあるので、初心者講座的なものは無いのだが、モンスター解説や職業ごとのレクチャー動画みたいなのはある。


普通の動画配信と同じで、個性とか話術とか大事なのだ。


その点俺はダンジョン探索する猫としてバズり散らかしている!


遠慮無く俺を推すといい!


まぁ、ヤクシはライブ配信やってる人を探してリアタイでコメント見ながら楽しみたいだけで推しはいないんだけどな。


マリモちゃんは擬態中だし、グレイはちょうど良いからって昨日洗濯したご主人のベッドシーツなどをセッティングしにいった。


布団やマットレスまで洗浄魔法してから干してたのでふかふかだぞ。


「終わった」


「にゃ」


早いな、ご主人。


「ほとんど終わってたからね」


ちょいと覗き見……ご主人?ロブスターは美味しかったって感想いるの?いや、今回の夜営訓練が終わって思ったこと、だから間違ってはないんだけど。


結構真面目に書いてある文章に紛れてロブスターの味の感想が入ってる。というかロブスターの味の感想で締めてある。


……まぁ、ご主人だからいっか!学校の先生もきっとご主人のちょっとポンな部分知ってるよな!うん!


「うにゃ!」


いいと思う!ってご主人に言ってあげたぞ!


「そう?良かった」


ささっと片付けたご主人の膝から退いて、のびーっと伸びた。


「ヤクシが見てる配信が気になるんだけど一緒に見せて?」


「にゃ」


俺も見る。


「キュー」


良いよとヤクシが場所を空けてくれた。


『待て待て待て待て!イレギュラー出た!無理!』


『普通のオーガならまだしもレッドオーガは無理ぃぃっ!』



「……えぇ?」


「キュー」


イレギュラーが起きたみたい。って、もうちょっと慌てよう?


「コメント見る限り通報はしてるみたい」


「キュー?」


オーガは大丈夫なのにレッドオーガは無理なの?


「赤くなったら3倍強いって先生が言ってたよ、量産型とは違うんだとかちょっとよくわかんなかったけど」


ご主人たちの世代でそのネタわかる人は居ないと思うぞ先生……というか、この世界にもあるんだな、あのアニメ。


『ぎゃぁぁっ!』


配信者の男性2人組が悲鳴をあげながら逃げていくのだが、やはりレッドオーガは速い!


2人組にその鋭い爪が当たる寸前、強烈な光と落雷の音が響いた。


『あなた方はとても運が良い、ストレス発散するためにこのダンジョンに潜っていた私と出会えたのですから』


「うにゃぁ!」


ラスボス登場した!


「いや、高村さんだよ」


登場の仕方はヒーローだけどラスボスにしか見えないんだから仕方ない。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る