第188話 ミロクが一番
「うにゃにゃぁ?」
で、どう思う?
「にゃっふにゃっ?」
ご主人に鑑定モノクル渡すなんて俺に喧嘩売ってると思わない?
だって!俺が居るのに!
「キュキュー」
ご主人がチーム活動する時に必要だからでしょ。って、ヤクシ冷たい!
『喧嘩はー、売ってないとー思うー』
えぇっ?売られてると思うんだけど?
ちょっと苛ついて尻尾もぺしんぺしん床を攻撃してる。勿論、床を凹ませないように気をつけてはいる!
「良いじゃないかマスター、鑑定モノクルが有ればマスターが居ないダンジョン探索も多少は安全になる」
「にゃにゃにゃ!」
グレイ、それとこれとは別なのっ!スーパー鑑定ネッコミロクの……えーと、こけんに?かかわるの!
「にゃぁぁん!」
鑑定モノクルにお株を奪われるのぉぉぉ!
「いや、マスターのユニークスキルに鑑定アイテムごときが敵うわけないだろ」
「キュー」
そうそうって、どうでも良さそうにグレイに同意するなよヤクシィ……
『鑑定モノクルってーギルドの機械よりー簡易な鑑定しかー見れないからーだいじょーぶー』
マリモちゃんは面倒になったのか、擬態状態になりながら言って、その後は話し掛けんなオーラ全開だった。
「はわぁー!やっぱりお風呂は最高だよねぇ!」
「颯人様、鑑定モノクルをマスターに鑑定させてあげてくれ」
ん?
「あ、やっぱりミロクは拗ねてるの?」
「に、にゃあ!」
す、拗ねてねぇしっ!
「はい、存分に鑑定しなさい」
そして渡された鑑定モノクル……あれ?アイテムなら名前と簡単な説明、モンスターなら名前とレベルしかわかんないの?
「うにゃ」
ショボ…
「そりゃあ初級ダンジョンのアイテムだからねぇ?でも探索中ならそれだけわかれば十分でしょ?」
「うにゃん!」
なーんだ!鑑定モノクル程度で俺の地位は脅かされないな!
「あはは、ミロクは鑑定出来なくたって一番だよ!」
おぉう、頬っぺたもにゅもにゅするんじゃない。ぶちゃいくになっちゃうじゃないか!
前足でどうにかご主人の手を退けて、毛繕いする。
まったく、頬っぺたマッサージは気持ちいいけど、ぶちゃいくになるくらいまでやったらダメだぞ!
「うにゃ」
俺が一番なのは当然だ。
「うーん、お猫様だなぁ」
「にゃぁ」
ご主人の猫は俺だけだから一番なのは当然ってことだ。
「うなぁ?なぅん?」
それとも何か?他の猫を可愛がるって言うんか?
「ミロクだけです!」
「眼光が鋭い……」
「キュー」
ヤクシ、オス猫のヤンデレは流行らないと思うじゃねぇんだわ。
猫になってから居場所を守る気持ちが強いのだ。俺の居場所は家じゃなくてご主人だから自分の配下として増やすのは良いけど、愛玩動物はダメだ。拒否だ。ノットサンキューだ。
「にゃん」
それならよし、ほら撫でろ。
「うん、細かいことなんてこのもふもふの前ではどうでも良くなるね」
「……とりあえず、ロブスターのスープできたぞ」
「キュー!」
「うにゃ!」
食べるー!って一番に食いに行くんじゃないよヤクシ!一番先に食べるのはとってきたご主人でしょ!
キッチンテーブルに用意された皿に食いつこうとしたヤクシを寸前で止めた。
「……えぇ?ふたりともそんな一瞬で居なくなるぅ?」
あ、ゴメンご主人。
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