第184話 見張り


一応、お裾分けです。ってパウンドケーキは一切れ置いといたけど、本当に気が付かないうちに消えてた。


片付けは3人がやってくれるそうなので、僕は防水マットレスを出しておく。2人ずつで見張りを交代するからマットレスは2つだ。


「神木、何出してんの?」


「防水マットレスだね、翌日にも戦うかもしれないのに固い地面に寝るとかあり得ない!って何故かミロクが怒ってた」


「……神木は収納鞄を持ってるんだから良いんじゃないか?」


「恩恵を受けている我等がどうこう言えることでは無いでござる」


うん、でも、なんか壁をベシベシ叩いてる音がするよね?ユニークスキルでツッコミしなきゃいけない気になってるだろうに、我慢しなきゃいけないなんて、大変だなぁ。


「佐藤さん、ツッコミエルフなんてアダ名がついてんのに、うちのチームの保護役任されるなんて大変だな」


相変わらず三井君の探索者情報は凄い。


でも多分、僕のというか、ミロクの特殊性を知ってるから僕らの保護役を任されたんだと思うよ?


今回のがミロクの幸運の仕業なのか、ツッコミが必要だからダンジョンさんが引き寄せてるのかはわからないけど、実行犯は高村さんだろうね。


「三井、俺達が先だぞ?銀を出してやれ」


「そうだった!」


察知能力の高い銀とバフ担当の三井君にタンクの安田君が最初の見張りだ。


寝るには時間が早いけど、睡眠時間の確保を優先する。


口に洗浄かけて、ポンチョを毛布代わりに就寝。防具はそのままなので寝にくいけど、さすがにダンジョンで防具は外さない。


寝れないかとも思ったけど、疲れてるしスゥッと寝れた。


そして交代の時間に起こされて、スッキリ目が覚めたね。


焚き火の前で、コーヒーとクッキーを取り出して見張り開始。


セーフティゾーンにモンスターは来ないので、見張りといっても火の見張りだ。


でも時々近くをモンスターが通るので、その時はちょっと緊張する。


野田君はアイテムの確認をしたり装備の点検をしたりしながら時間を潰してる。


こういう時ってなんで時間経過が遅いように感じるんだろう?


「神木氏?何やってるでござる?」


野田君が小声で話しかけてきた。


「今回のレポートを書いてるよ」


「……ダンジョン内ですることではござらぬな?」


「暇だからね、出来ることはチャチャっと終わらせたいんだよね」


「……そうでござるか」


野田君は何か言いたそうにしていたけど、言わないってことは言う必要がないってことだよね。

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