第181話 夜営訓練当日



ダンジョン夜営訓練当日、学校前。


リーダーの三井君、斥候の野田君、タンクの安田君、アタッカーの僕の4人チームに、ひっそりと居るらしい保護役の探索者さん。


学校出発なのは、そこからひっそりと隠れてカメラで撮影したり危ない時に助けに入る保護役さんがついてくるかららしい。


「あれ?佐藤さんじゃね?」


「三井君、しーっ!」


らしいんだけど、知ってる人が居たら見つけちゃうよね?三井君が空気読まずに声かけちゃったけど!


佐藤さんは凄く嫌そうな顔して、手で追い払うようにシッシッとやってる。


「三井氏、保護役の邪魔したら駄目でござる」


「あっ!そっか!」


三井君がペコペコ頭下げてるけど、目立つからやめよう?


「それよりさっさと出発しよう」


安田君に言われて、時間を確認して慌てて出発。


バスに揺られて数十分、歩いて数分の場所にあるダンジョンに到着。


「んじゃあ確認な!D級ダンジョン9階の泥人形のドロップ品の納品、同じく9階にあるセーフティゾーンでの夜営訓練が今回の目的だ」


「9階までは避けれるモンスターは避けていくでござる」


「9階に着いたら先にセーフティゾーンの確認だね」


「出来れば今日中にドロップを狙うが無理して探し回りはしない」


目的の確認をダンジョン前でしてから入る。


このダンジョンは1階が荒野で段々と湿地に変化していくタイプだ。5階は草原で10階は沼地だよ。


だからモンスターも階層ごとに違うのだ。


アリやトカゲが出たと思えば荒野ウルフとかいう名前そのまんまな奴も出たり、草が多くなると馬や牛が出たり、湿り気が出たらダンゴムシやムカデに混じって水牛が居たりする。


僕は必要にならなければ二度とここには来ないと決めた。


因みにオークは何故か5階で中ボスやってる。チームではあるけどオークキング御一行に比べたら楽だった。


「なーんか5階で突然オーク出てくるよなぁ?」


「ゴブリンが低階層で出てればまだわかるけどな」


「しかも5階だけしか出ないでござる」


「きっと中ボスっぽいのがオークチームしか思い浮かばなかったんだよ」


というような話をしながら着々と進んで、午後3時には9階に到着した。


階段近くと違ってセーフティゾーンはちょっとした休憩所みたいな窪みがある。分かりやすく壁が凹んで浅い洞窟みたいになってて、小さな湧水みたいなのもあった。


因みに、この湧水は回復の水ではない。


「すまぬがちょっと休憩を求めたいでござる」


「ん?まぁ大丈夫だぞ」


野田君の提案でちょっと休憩をすることになった。


「この泥の中を行くなら一度靴底の溝を掃除しときたかったのでござる」


「む、俺もやっておこう」


「あー、滑りそうだもんな!」


固い床に泥がまかれてるみたいな状態だから、普通に踏ん張り効かないよね……僕は大丈夫だけど。


いや、だって僕の靴はミロクが錬金術で魔改造しちゃってるやつだからね。


この泥の中を歩いて来たのに汚れても無いんだから……なんか凄い靴出来た!ってミロクも説明をしなかったし、僕もなんか聞くの怖いなって思って聞かなかったんだ。


皆が靴底を掃除してる間に、僕はカロリーバーを食べとく。一応階段で昼御飯にカロリーバー食べたんだけど、それだけじゃお腹すくんだよねぇ。


晩御飯は豪華にしよっと!

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る