うぇい!
第178話 夜営訓練計画書
季節が秋になりまして、学校では一泊二日のダンジョン夜営訓練が行われます。
因みに、チームごとに入るダンジョンや泊まる場所、必要な物など夜営計画書を作って提出しないといけない。
まぁ、僕はだいたいの物が収納鞄に入ってるから用意するものは毛布とかその辺だけだ。
カロリーバーとかもしもの時のために持っとけってミロクが言うから、一応キャンプセットとかも用意してるんだよね。
ギルドのアルバイトで臨時収入があったから、思いきってキャンプセット揃えたんだよ。
動物相手とはいえ、他に人が居ない訳じゃないギルド内で流されるんだよ?不特定多数の人達に僕の声が聞かれると思うと、胃がキリキリしてくるよね。
一応ギルド職員さんが、ちゃんと録音でもユニークスキルは発動してるって、ペットで確認してくれたから、使われるのは確定なんだよね……
ミロクの作った翻訳アプリの入ったタブレットに音声も入れて、各ギルドに配布するらしい。
僕のスキルだと、言語が違う場所でも問題無いらしくて、外国に野生動物についての警告と一緒に宣伝して売り付けるんだって、高村さんがニコニコしてた。
……世界…か、考えちゃ駄目だ!そう!夜営訓練についてだ!
今回は短いけど、まだ何回もあるんだよね、日数をだんだんと長くしてくんだ。
三年生になったら地方に遠征までするらしいよ?勿論移動手段の手配とかも自分たちでやるし、かかる費用も学校に申請しなきゃならない。
高村さんが旅行準備完璧だった理由がわかるよね。
ついでに言えば、探索者の専門学校だから栄養学や経理とかもやるし、簡単な武器や防具の修理もやるよ。
専門で探索者やるような人達って、自分で全部やるか、クランや企業に所属して専門家にやってもらうかだ。
個人やチームでの外部委託は稼げるようになってからじゃないと無理だって、経理の先生が笑って言ってた。
今回の夜営訓練はチームごととは言っても授業だから、一泊二日の夜営計画書をそれぞれ作って提出して、チーム毎に皆の意見の良いとこ取りする。
だから、僕も作ってるんだけどね?
テンプレートは有るから埋めていくんだけど……………扉の隙間から覗いてるのが見えるんだよねぇ。
また見つかってしまったようだ。
なんで気がつくんだろ?なんかいつの間にか見てるよね?見て欲しくない時とか特に。
「ミロクさん、見えてますよ」
「にゃぁ」
ミロクが見ているのだ、って返された。うん、まぁ確かに?
「にゃにゃぁ」
ご主人がなんだか怪しいので見ているのだ、ってジリジリ近づきながら言われた。
「何が怪しいの?」
「にゃ」
わからないけど怪しい、って……勘なの?それで気がついちゃうのズルくない?
遂にミロクが机の上に跳び乗ってしまった。
そして計画書を見て、僕の顔を見て、また計画書を見て……前足をタシタシした。
説明しなさい、ってことらしい。
「夜営訓練の計画書だよ」
「うにゃにゃ?にゃぁ?」
んなこたぁわかってる、それよりこの計画書はこれで終わり?ご主人、これを計画書として出すの?って、叔父さんが書いたゴミのような報告書を見た高村さんみたいな目をしてる。
「叔父さんじゃないんだから違うよ?」
行くダンジョンと、ダンジョンで取ってくるドロップ品は指定されてるから、そこを記入して、行動計画を箇条書きしただけだし。
こんなの提出したら見ただけで突き返されるよ。
「にゃふぅ」
だよねぇってため息混じりに言われた。
「うにゃにゃにゃぁ」
出発時刻に移動時間、ダンジョン到着までのルートもないし、目的地までの地図にドロップするモンスターの特徴やドロップ率に分布、一日目でドロップをした場合の過ごし方とか色々足りないからビックリした。らしいけどさぁ……
計画書、そこまで詳しく作らないよ?
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