第176話 正統進化してからじゃないと



小ダンジョンから出て、ヤクシ達と合流したあと、野良猫達と別れた。


どうやらダンジョンさんはお願いをきいてくれたみたいで、今回小ダンジョンをクリアした野良猫たちに、探索者教育とか人間についての情報がインストールされたようだ。


……あれ?俺は?


まぁ、今更だから良いけど。


とりあえずダンジョンについての基本行動が学習出来れば、野良だからこそ無理はしないだろう。


というわけで、俺が教えることは無くなった!


寒くなったら奴等から魔石とかアイテムと交換で毛布やろう。ダンジョンで稼げるのだから対価は貰うぞ!過度な施しは奴等のプライドを傷つけるからな!


知能上がったから、その辺は考えてやらないとな!


「家に入る前に注意しておくが、洗浄してから入れよ?」


玄関を開ける前にグレイに言われて、体を見る………葉っぱとか枝とかいっぱい絡まってる上に泥だらけだ。


「キュー」


ヤクシも葉っぱをお土産に付けてる。


マリモちゃんは………毛が無いから無事だ。


俺が一番酷い、ヤクシは飛んでたからちょっと葉っぱ付いてるだけだが、俺は藪の中に突っ込んだからなぁ。


「うにゃ」


気がついてなかったのでグレイにありがとうを言って洗浄をかけた。これは直ぐにでも風呂に入らねば!洗浄でダニとか落ちるか謎だからな!皮膚病になったら丸刈りされる!


状態異常無効スキルはダニに効くのか!?


「にゃっ!」


「いや、普通のダニとかマスターの魔力ガード突破出来ないだろ………わかった、準備する」


俺の眼差しに負けたグレイが、タオルなんかを準備して、全員で風呂に入った。


洗浄と風呂じゃさっぱり加減が違うのだ。毛がペショッとなるのを気にしなければ風呂は好きだ。


だがドライヤー、テメーは駄目だ。いくら人間的に静かになろうが猫にはうるさい。


まぁ魔法で乾かすから使わないんだけどな!


そして、ご主人が帰宅。俺はご主人が忙しくしてる間に寝る。


まったり時間には起きて、ご主人のお話を聞いてから、俺達も今日の出来事を報告するのだ。


ご主人はブラシで俺の毛を整えてる。


「永遠に抜ける……」


「こんな毛の量が抜けてるのに、まだ抜けるのか!?」


山のような毛は換毛期あるあるだけど、ちょっと禿げるのでは?って怖くなるよな。


でもまだ本番じゃないんだ。


「にゃにゃぁ」


そういえば、進化先に聖獣が出てきたんだけど、状態異常無効スキルが欲しかったからそっちにした。


「キュッ!?」


「はっ!?」


『マジでー!?』


「そっかぁ、状態異常無効とかレアだから、良かったね………皆、なんでビックリしてるの?」



「キュー」


「へぇ、聖獣はドラゴンより凄いんだ」


『いやいやいやー?状態異常無効スキルなんてー聖獣進化と比べたらゴミみたいなー?スキルを選んだー?え?えー?』


マリモちゃんが珍しく擬態を解除して慌ててる。


「嘘だろマスター……聖獣だぞ?」


「にゃ」


なんか気分じゃなかった。


「気分じゃなかったなら仕方ないよね」


ご主人だけはわかってくれたけど、他3名は信じられないって顔してる。


「うにゃにゃ!」


賢者猫の次は大賢者猫だと期待してたのに聖獣とか出てくるの良くない!


「職業なら賢者の次は大賢者だよ?どこから聖獣が来たんだろうね?」


「……うにゃ」


「あー、属性魔法取得フィーバーで聖魔法ゲットしたのかぁ、それしか無いやつだね」


ご主人と話してたら、皆が駄目だコイツらって感じでため息をついてた。


俺的には聖獣になると強さがインフレしちゃうから、大賢者猫とかやってから進化したいんだよ。


あと、進化の段階はちゃんと踏んどきたい。図鑑埋めみたいな気分?1段階目ゲットして真ん中抜けて最終段階目もゲットしちゃった時の気持ち悪さ。


正統進化先見てないのにアイテムで特殊進化しちゃったみたいなの、ちょっと俺には合わない。


そんなわけで聖獣はちゃんと進化してからなります!

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る