第173話 労いの出来る猫


それでも仕事の出来る高村は、野良犬や野良猫等が普通ダンジョンに入るために、呼び掛けと首輪と改札を通るための簡易入場証の作成を上に投げとくそうだ。


野生動物が小ダンジョンに勝手に入るのは流石に規制は出来ないけど、モンスターは動物型が多いので普通ダンジョンに動物が入るようになったら首輪無しだと事故になりそうだ。


改札があるので勝手には入れないって言ってるけど、俺だって人混みに紛れて侵入出来たんだから、動物には改札の意味が無いもんな。


まぁ、他の動物たちが食料確保以外でダンジョンに入るのか、謎だけどな!食料確保のためだけなら小ダンジョンで足りるからレベル上げでしか普通ダンジョンに用はない。


でも、近所の奴等は何故かレベル上げに積極的で、普通ダンジョンにも入りたそうなんだよなぁ……


やっぱり強さを求めるのは本能なのかな?ほら、縄張り争いとか?オラオラしてるんだよねぇ。


俺は家猫だし、家が縄張りだし、元人間だから興味は無いけど、最初の頃はシャーされたもん。他所もんが何用じゃいっ!って感じ。


やんのかステップしながら言われたから、無視して小ダンジョンに行ったけどね!喧嘩売られたけど相手にしない俺の、大人の対応ってやつだ。


「うにゃぁ」


『野良がアイテム売れるようになったら、にゃーるを食べさせてやるんだ』


「全部にゃーる代に消えそうですね」


「普通ダンジョンに入れるようになれば魔女の家に住めるしな」


グレイの発言に高村が笑顔で固まった。


「……ダンジョンに住むのは危険では?」


「魔女の家の何も無い部屋はセーフティーゾーンだから危険は無いし、入って直ぐにも有ったから奥に行かなきゃ大丈夫だろ」


「……なる、ほど?」


高村の中ではダンジョンに住むってのが予想外すぎたんだろう。


でも、ダンジョンって必ずセーフティーゾーンあるし、深いダンジョンだと夜営とかはそこでするんだから似たようなもんだ。


「聞かなかったことにしますね……」


きっと実現したら魔女の家が大人気になって魔女も泣いて喜ぶだろう。


錬金術のレベルが上がって俺が行かなくなっても、第二、第三のミロクが魔女の家訪問をするのだ!


猫の探索者が増えればダンジョンさんの注目も分散されるはずだから、ユニークスキルを貰う頻度も下がるだろうしな!


おっさんみたいにユニークスキルごちゃ盛りされると、俺の狩猟本能が満たされなくてご主人の腕に負担をかけそうなほどじゃらしを動かしてもらわなきゃならなくなるのだ。


グレイにさせろって?ご主人と遊ぶことで満たされるものがあるから嫌だ。


それに、グレイはまだまだじゃらしが下手なのだ。攻撃パターンが決まってるモブみたいな感じで予測が簡単すぎた。


やっぱりじゃらしを動かすのは人間に限るぜ!な感じなのだ。


「うにゃぁん!」


『じゃあ色々よろしくな!』


そのうち高村の仕事が休みの日に一緒にダンジョン行ってやるサービスを実行してやろう。


俺がダンジョンに入ってから忙しくさせてるからな!ファンサってやつだ。撫でさせてはやらないが、優しくはしてるのでご主人にも怒られまい!

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