第172話 結局、撫でさせなかった
ご主人に高村さんに優しくしてあげてとお願いされたが悩み中である。
ギルドに到着して、高村の部屋に入って、アプリを配信事務所用のパソコンに取り込んで、諸々の書類をグレイに記入してもらった。
その間も悩み中である。
とりあえず高村にはミニミロク人形をプレゼントしたのでいいかな?と思っているのだが、やはり本物には敵わないんじゃ無いかとも思うんだ。
「あ、この人形動かせるんですね」
「うにゃ」
『基本ポーズが招き猫なだけ』
早速アプリが翻訳して読み上げてるから会話がスムーズだ。
元人間の時の名残りみたいなもんなんだけど、普通の猫が人間に変身できたりスムーズに人間の言葉を喋ったりするのは好みじゃないのだ。なんか違うのだ。
これからも俺はにゃーにゃー鳴くぞ。
「凄い胴が伸びますね」
「にゃぁ」
『そんくらいは普通』
高村はミニミロク人形を動かしまくってるけど、その人形は基本的に猫の身体と同じようにしか動かないのだ。
だから胴が伸びるのは普通だ。
「にゃ」
『肉球を押してみろ』
「っ、爪が!なんてこだわり!そしてぷにぷにです!」
そうだろう、そうだろう!
だが、その人形……たぶん拘ったのはダンジョンさんだ。俺は自分の毛で自分の人形作ろうってだけで、特に何もイメージしなかったからな。
「書けたぞ」
「にゃ」
『ご苦労』
グレイから書類を受け取った高村は、書類を封筒に入れて郵便と書いてある箱に入れた。
「では、あとは処理しておきます。ところで今日はヤクシとマリモちゃんはどうしたのです?」
「先輩たちはマスターの代わりに野良猫への魔法指導をしている」
「………野良猫が、魔法?」
「うにゃ」
『猫って魔法型が多いみたい』
たぶん高村が訊きたいのはそういうことじゃないんだろうけど、情報提供だ。
「近所の野良猫は獣人を選ばずに進化したらしくて、魔法特化の魔法猫や魔法と近接の大魔猫、変わり種の猫又等が確認出来ている」
20歳越えた猫には、進化に猫又の選択肢があったらしい。野良で20歳とか長生きだよなぁ。
うちの近所は野良猫というか、地域猫が多くて野良犬は見ないんだけど、犬の進化先はなんだろうな?気になる。
「………初耳です」
「うにゃぁ」
『そのうち気がつくかなって思った』
悩ましげな顔になった高村だったけど、何か吹っ切れたような笑顔になった。
「そのうち役所の人が気付きますよね!」
どうやら聞かなかったことにするらしい。気持ちはわかる。
「にゃん!」
『そうだよな!』
まぁ、ギルドの仕事じゃないし、高村は忘れて良いと思うぞ!
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