第166話 高村は関わりたくないと思った


この飼い主さんに配慮していたら話が一生終らない気がしますから、どんどん行きます。


「一先ずピーちゃんは初の獣人ということで、諸々の検査を受けていただかなければなりません」


まずはギルドに併設された治療院でレントゲンや採血などを済ませて、毛髪や羽も採取させてもらいました。


ミロク君の鑑定でも出るでしょうが、科学で調べたデータのほうが、まだまだ信用度は高いのです。


「気をつけていただきたいのは、研究者と名乗る人達です。ヤバいのは特区に隔離されてますが居ないとも限らないので、ついていかないでくださいね、解剖されますよ」


「ぴぇっ!?」


「あー……医学の進歩のためにと認可の無い薬使ってた先輩が居て、私はなんだか闇に蝕まれたというか、そういうのもあって連絡取れない山奥に行きたかったんですよねぇ」


軽い人間恐怖症でしたけど御老人たちとピーちゃんのおかげで立ち直れました。と笑っている飼い主さん。


やべぇ経験し過ぎでは?


「回復の水があって良かった……」


颯人君、そんな人はそうそう居ないんですよ。


風邪とかなら自分の免疫力で治したほうが良いので病院には行きましょうね?


「飼い主さんも気をつけていただいて、今日は必要書類に記入して、証明写真撮って終りにしますが、こちらの用意したホテルに宿泊してもらいます」


役所の職員に戸籍関係その他書類を持ってギルドに来てもらってます。


大々的に知られてしまったので特例ですが、今後の獣人登録の際に通常の物でいけるのか、新たに作成しないといけないのか等の確認も兼ねてます。


「海外で獣人報告が有れば良かったんですが、世界初の獣人になってしまったので色々騒がしくなると思いますが、今後出てくる獣人のためにも頑張ってくださいね」


本当に、どっかの国で実験的にでもやってないか探ってみましたけど、やってないんですよ。


どの国も他の国から情報が出ないかと様子見状態だったのに、今回のこの事故ですからね。


まぁた外交担当の頭皮が薄くなりますね!毛根は死んでるので回復の水は効果ありませんよ!腕は生えますが毛は生えないところがダンジョンですよね!


「がんばります…」


「パパも協力するからね!」



そしてとりあえず戸籍登録なんですが…


「ピーちゃんではちょっと……」


やっぱり名前で躓きました。


「あだ名をピーちゃんってことにして、ルピとかで登録すれば良くないか?」


何を悩んでいるのか理解出来ないグレイがミロク君に訊ねています。


「うにゃ」


ミロク君の首にかかったボードに、こだわりがあるんだろ。と表示されましたが、ミロク君がなんだかテキトーな返事をしてる気がします。


『こだわりかー、名前など記号にすぎないのだー』


マリモちゃんがドライです。


「ピー助とかダメなのかな?」


颯人君はたまにネーミングセンスおかしいですよね?


「キュー」


ヤクシの言葉もボードに表示されました。助つければ良いってもんじゃないよ。と辛口コメントです。


そして、一連の外野の言葉を聞いた飼い主さんの反応がこちら。


「良いですね!ルピで登録してピーちゃんって呼びます!」


「……まぁいいけど」


本当に、飼い主さん苦手な分類かもしれません………神木正人臭がします。

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