いやいや
第164話 ピーちゃんと猫
私の名はピーちゃん。
ヒトになんか薄暗い場所に連れて行かれて葉っぱを啄んだ後、石のような物を食わされたのだ。
その後はヒトの肩に乗せられたまま、移動して扉を開けてヒトが緑色のヒトを消して球を壊した。
そしたら大きな音がして目の前になんか現れたではないか!私は驚いて飛び上がり、その拍子に何か触ったのだろう、何故かヒトになっていた。
正直パニックで逃げなければいけないとしか思えなかった。光ってる場所に行けば、急に外に出たのでまたパニックになった。
風切羽は切られて上手く飛べなくなっているはずなのに、普通に飛べてしまって、怖いのでこの場を離れることしか考えて無かった。
そしたらなんかバチッっと痛くて体が動かせなくなり、意識も遠退いた。
次に目が覚めた時は猫が居て、インコの時に見たことある猫より大きいような小さいような、でも食われるって感じでは無かったから慌てなかった……なんてこともなく、身動き出来ないので慌てまくった。
そしたら口になんか挟まれて、また薄暗い場所に連れて行かれて、猫に転がされた。
視界はグルグルするし、体は痛いし、たまになんか押し潰すような不快な感触があるし………と後になって思った。
その時は何も考えられなかった。
しばらくゴロゴロされてたら、頭の靄が晴れるというか、思考が進むというか、急に色々な情報が入ってくるというか、とにかく自分がなんなのか理解出来たのだ。
そしたら水の中に突っ込まれるわ、口に魔石突っ込まれるわと扱いが酷い。
挙句の果てには投げ飛ばされてゴブリンに頭突きだ。気絶くらいするだろう。
文句の一つでも言ってやろうかと思ったら、怒涛の勢いで猫が……喋る?これは喋るって言わないけど、私のやらかしたことや、今後の懸念等を伝えてきた。
「キュー」
フェアリードラゴンが鳴くと、猫の首からさげてあるホワイトボードに翻訳が出てくる。
そういえばアイテムが獣人用の洋服レシピだったよと本を猫に渡した。
私のでは?
「……うにゃ?」
顔に出ていたんだろう、猫が呆れを含んだ感じで、お前服作れんの?と言った。
「猫よりは作れるのでは?」
そう言うとため息をつかれた。なんでだ。
「うにゃにゃ?」
俺は錬金術スキルも裁縫スキルも持ってるしストレージに材料も入ってるけど?と言った猫。
「なんでだ」
猫だろ?猫なのに?あれ?猫って猫だよな?知識間違って無いよな?
「キュー」
なんだよスーパーネッコミロク君なのでって!それで解れと言うのか!?
あと、猫は本をペラペラ読んで錬金釜に布入れて錬金してんじゃないよ。お前の話をしてるんだが?
「にゃ」
はい、テキトーに作っといた。って服を渡された。
鳥獣人用の服は特殊な作りだが着方は解る。ズボンは普通なんだが、上着は背中側に肩甲骨辺りからスリットが入っていて、真ん中の布を中にしまって左右の布についてる紐で結ぶという形だ。
……紐じゃなくてチャックになってる。知識にある情報とちょいちょい違うのなんなの?
「うにゃ」
スリットをチャックにしたらいいんじゃないかと思ってたらそうなった。と猫は何も可笑しくないって感じで言った。
「キュー」
また幸運が仕事してる、とフェアリードラゴンがやれやれとため息ついてるけど、そんな頻繁に起こることなのか?
「………パンツください」
私は色々言いたいことを飲み込んで、猫に頼んだのだった。
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