第162話 鳥獣人を強化


転がすのをやめて見てみると、猿ぐつわは無くなってて、鳥獣人がゲホゲホしていた。


「うにゃ?」


猿ぐつわは?


「キュー」


咬み切ったのかも。とヤクシが言った、まぁただの縄みたいなもんだったから切れることもあるかと納得。


鑑定してみるとレベルは5になって、知力もカラスよりは低いけど、ダンジョンに入る前のコタローたちよりは上がった。


人間の子供くらいの知能はあるってことだな!


ちょうど口があいたので、知力アップの魔石を突っ込んで食わせて転がし再開。


「は!?ちょ、いたっ!?ギャッ!おえっ!?」


スピードアップしながらゴロゴロ転がして、ネズミやウサギもはね飛ばし、回復の水にドボン!


「あブッ!?ゲホッ!?」


「にゃ」


水を飲め。


なんか止まったらギャアギャアうるさそうだし、勢い大事。


飲んだのを確認したヤクシが、水の中から鳥獣人を引っ張り上げた。


俺はボス部屋の扉を開けて、ベソベソに濡れてる鳥獣人にはヤクシが再度防御力アップバフをかける。


鳥獣人を縛ってる蔦の一部を咥えて引き摺って中に入ってゴブリンの威嚇を聴きながらダッシュ&ぶん投げ。


「ピャァァァ!」


体育座りのまま空を……というには天井が低いけど、空を飛んだ鳥獣人は見事な頭突きでゴブリンを倒した。やったね!


「うにゃ!」


これでよし!


「キュー」


ヤクシが鳥獣人見ながら、可哀想とか言ってる……全然可哀想じゃないよ?ある意味被害者だけど、なったもんは仕方ないんだから今のうちに世の不条理を学ばないとなんだぞ。


俺はこれからの鳥獣人のためにやってるのだ。


とりあえず、ゴブリンに頭突きしたくらいで気絶したらダンジョンじゃ死んじゃうから防御力とか諸々上げなきゃだな!


鳥獣人だし、空を飛んでたらバードストライクくらいそうだし。


ヤクシがヒールして、目を覚ました鳥獣人は俺達に文句を言いそうだったので再度猿ぐつわをしてやった。


「うにゃにゃにゃにゃにゃにゃにゃ!」


知力値が低くてダンジョンさんの一般常識情報も理解出来ずにパニクって逃げたお前を捕獲して、知力上げに小ダンジョンでパワーレベリングしてやったんだけど文句あるのかお騒がせインコの全裸ピーちゃん!



怒って毛羽だってたのがシュンとなった。



「キュー」


知力上がってからの事実の突き付け流石です。ってヤクシが拍手してくれたぞ!


「にゃにゃにゃにゃにゃ」


獣人については政府もまだ細かいこと決めてないのに、事故的に獣人が発生して、しかも逃げたんだぞ、どんだけ騒ぎになってると思ってんだ。お前を多少雑に扱ってでも知力上げて社会に溶け込めるってことを証明しないと、今後の獣人たちの扱いがどうなるかわからないんだぞ。


「キュー……」


追い打ちかけるんだ……ってヤクシがちょっと引いてる気がする。

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