第140話 オークの肉じゃなかった


どんどんダンジョンを進んでいくと、ホブゴブリンやオークが出てきた。ついでにコボルトやコウモリ系の奇襲もある。



俺は隠密してるので奇襲は受けないし、気配察知で気が付いてるけど、ご主人のために黙ってる。


魔力板に乗ったままで魔力板を動かせたから、空飛ぶ魔力板でアラジンごっこを楽しんでるから伝えないのではない。決して無いのだ。


魔力板は透明なので、下から見ると俺のかわゆい肉球が見える。だけど、ご主人はスマホで肉球の写真撮るんじゃなくて奇襲に備えたほうがいいと思う。



「猫のお腹がペタッとなって足の境目がわからないのに肉球だけ見えるのめっちゃ好き」



「キュー!」


「コボルトアサシン!」


『ご主人がースマホ片手に持ってーノールックカウンター入れた件ー』



ご主人、岩上から気配消してナイフ振り下ろしたコボルトアサシンをスマホ見ながらナイフ弾いて蹴飛ばした。


蹴飛ばされたコボルトアサシンはマリモちゃんが倒してたけど、マリモちゃんも驚いてるみたいだ。



「あ、つい…」


「つい!?」


「ほら、奇襲誘拐暗殺対策とかはガッツリさせられてさぁ」


なる、ほど?まさかご主人って奇襲受けた時のほうが強いの?


いや、俺も奇襲受けた時は反射で猫パンチ出ちゃうけども……


「叔父さんに、襲われた時は躊躇わず反撃しなさいって教えられたんだけど、後ろから肩を叩かれただけで手が出るようになっちゃったから、今度はそれを我慢する訓練して……そしたら奇襲されたら動きが一瞬止まるようになっちゃって……ダンジョン入るようになってから普通に奇襲の対応できるようになってきたんだよね」



おっさん、人に教えるの向いて無いんじゃないの?


「うにゃにゃ」


それでもダンジョン内でスマホ見るのは危ない。と一応叱っておく。


「それはごめんね、ミロクの肉球が素敵すぎたんだ」


「うなぅ」


それは仕方ないな。


俺の肉球は綺麗なピンクで、最近では舐めても大丈夫な自家製肉球クリームでふわぷにだからな。


「キュー」


仕方なくないけどーってヤクシに呆れられてるが、猫好きなんてそんなもんだ。


肉球の匂いさえ定期的に摂取したくなるような人達も居るんだ。まだぷにぷにするだけのご主人は、肉球フェチ軽度だ。



「オーク来るぞ」


グレイが察知したので皆が構える。


俺は魔力板を操作してご主人たちの頭上に移動して隠密。


オークはファンタジーあるあるの食用肉が通常ドロップだ。豚肉っぽい味だが旨いアレだ。


ただ、正式名はオークからとれた豚肉っぽい味の謎肉である。略してオーク肉。


俺の鑑定のフレーバーテキストには、オークの肉ではないがオークからドロップされる豚肉っぽい謎の肉と出てくるのだ。


これをご主人に伝えたら食べないと言いそうだったので、黙ってることにした。何でも教えれば良いって訳じゃないのだ。


「みゃぁ」


オーク肉で他人丼(レモンソルト味)を作ってあげてほしいな。とご主人の夕飯のリクエストを勝手に言っといた。


前世でちょっと金が無いときにやったのだ、安いバラ肉を酒と白だしとレモンソルトでちょっと漬けといて、玉ねぎを炒めて漬けた肉混ぜて焼いてちょっと水入れた卵でとじる簡単レシピ。


俺が食えない分、ご主人に食わせる!


いや、俺もね?グレイと感覚共有出来ないかな?って思ったけど、俺からグレイに視覚共有とかはできたけど、グレイから俺には無理だったんだ………無念。



「マスター、残念だがドロップは肉じゃなかった」


………幸運さん、仕事すんの今じゃないよ?微レアドロップとは言ってもオークの棍棒とか誰も使わないしな。

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