第137話 お手本のようなダンジョン
家でまったりゴロゴロして数日。
俺達はご主人と共にダンジョンへやって来た。
D級のスタンダードなタイプのダンジョンで、洞窟型のスライム始まりでゴブリン、スケルトン、オークと強さが階層ごとに変わるザ・ダンジョン。
特に有用性は無いが、スタンダードでわかりやすいダンジョンだから修練用として残ってるのだ。
因みに、入って数分で隠し部屋を見つけてしまった俺である。
スライムだけのモンスターハウスだったので、さらっと終わらせると、宝箱が出現。
「ミロクの幸運と鑑定系ユニークが仕事しすぎ」
「キュー」
「ヤクシ先輩の言う通り、今まで気が付かないのがどうかしてる」
うむ、それな?結構古くからあるダンジョンで普通に壁の一部を押すって感じのありきたりなスイッチだったんだから、誰かが気が付いてもいいと思う。
「1階の入って数分のとこに隠し部屋があるとは思わないよ」
ご主人が一応のフォローを入れた。
「うにゃ」
『じゃあーマリモちゃんが開けるー!』
宝箱に針が飛び出す罠があったので報告したら、マリモちゃんが漢解除で開けた。
まぁ、針なんてマリモちゃんには刺さらないよな!
中身はスキル石で、二段ジャンプだった。
これはご主人に使ってもらって、先に進む。
1階を半分くらいいくと、ゴブリンが出てくるのだが、ゴブリンダンジョンのと違って匂わないし、慌てずに倒せた。
というか、ドールのグレイまで人数に入ってるのか、モンスターの数が多い。
「パーティーの推奨人数なのにモンスター多すぎじゃない?」
「旨味のない修練ダンジョンだから、入る人が少ないんじゃないか?」
ご主人の疑問にグレイが答えてるが、確かに人は居なかった。
魔女の家並みに人が居ない。
『たぶんーここはーダンジョンモンスターとのーレベル差も加味されてるー?』
なるほど、俺が原因か!
「あぁ、ミロクだけレベル違うもんね」
ご主人も年齢的にはレベルが高いほうだが、俺はすでに中級クラスだもんな。
今もゴブリンアーチャーの放った矢をペシンと叩き落としただけで、戦いはご主人たちにお任せしてる。
グレイのレベルを上げなきゃいけないので、譲ってるのだ。
ついでに魔力操作の練習で、魔力で板を作って空中の足場にしてる。
魔力ガードは体に纏わす感じだったが、体から切り離して固めてその場に留めるのは難しさが段違いだった。
これをマスターすれば、結界の強度なんかも調節できるようになるらしい。
今は板だけだが、複雑な形を作れるようになったら、放出系魔法の調節もできるようになるらしい。
因みにドラゴン系は最初から魔力操作のスキルを持ってることが多いそうだ。
というわけで、俺は魔力板を作って乗ったり落ちたりしながら皆を応援してるのだ。
ダンジョンで練習なんて危ない?俺もそう思うんだけど……
ドラゴン2匹が俺にダメージ与える攻撃力を持ったモンスターがD級に居るわけないとか言って、俺は戦わずに練習しとけって言われた。
本体レベルじゃなくてスキルレベルを上げて欲しいらしい。
基礎技術は確り覚えるってのは俺も賛成なので頑張ってる。
「はぁ、はぁ、やっぱり僕って、体力が、無いなぁ」
あ、ご主人がへばった。
「たぶんこの中で疲れを感じるのは颯人様とマスターだけだぞ?」
「キュー!」
『われドラゴンであるからしてー』
「にゃにゃぁん」
俺、持久力アップとかの魔石食べまくったから。
ちょっとウルフさんを追いかけ回してですねぇ……ご主人にもお土産すればよかったね。
「…持久力アップの魔石食べるだけなの?」
「上がった数値に体をならしたほうが良いのはわかるよな?」
楽なほうに揺れたご主人に、現実を突きつけたグレイ。
持久力アップのためのジョギングとかは免れないんだよ。
「……えへっ」
「うにゃ」
えへっじゃないよ。
まぁ、俺は走ったんじゃなくてご主人のじゃらしに1時間じゃれついて慣らしたんだけどな?
「まぁ学校で学年別持久走測定があるからジョギングはするつもりだったんだけどね」
おぉう、学生は大変だな。
ご主人が回復したので探索続行。
マップがあるから迷わないけど、さすがスタンダードなタイプ。
薄暗いし、景色がずっと一緒だし、軽い迷路になってるし、でこぼこの道だし、罠があるし……人が疲れることのオンパレードだ。
頑張ってご主人!たぶん俺達のなかでご主人だけがちゃんとダンジョンさんの工夫に苦労してるぞ!
ダンジョンさんは大歓喜かもしれない。
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