第127話 叔父さんは今!(誕生日前の話)


ちょっとやらかしまくってたので、めっちゃ落ち込んでる。



魔虫と呪いのダブルやらかしで、ギルド管理の部屋で謹慎中だ。


収納鞄も取られたし、探索者基礎知識の試験を受けなきゃなので参考書を大量に渡されている。


ついでにスマホもないし、ネット環境も無いので牢屋と変わらねぇ。



高村が静かにキレてたので、ヤバいと思っておとなしく従ってるけど、せめて颯人に謝罪の連絡させてくれても良いんじゃないか?



まぁ、そう高村に言ったら冷たい目で見たあとに鼻で笑われたんだけどな。



テキストが終われば連絡くらいはさせてあげましょう。なんて言われたが、テキスト30冊あるんだが?


薄いテキストじゃないから!普通に学生が使う参考書くらいの分厚さがある!それを30冊全部終わらないと連絡させてもらえないって……


鬼めっ!


いつになったら終わるんだ?これ?頑張って3日で1冊終わらせてみたけど、かなり疲れた……



……しかもこれ、探索者のテキストだけじゃなく国語とか数学とかチラチラ入ってんだけど?


あとめっちゃ手作り感満載の道徳テキストはなんなんだ?作成者にギルド新人一同って書いてあるんだけど?


高村、部下に何やらせてんだ?



なんか、内容が怖そうだから最後にしてあるけど気になるんだよ。



「やってますか神木」


「うおっ!?チャイムも無しに入ってくんじゃねぇよ!」


突然扉を開けて入ってきた高村に驚いた。気配もなんも無かったんだが?



「そんなことはどうだっていい、君…颯人君の誕生日忘れてはいませんよね?」


「……あー」


「くそやろう」


「すみません」



高村も親父…颯人にとってはじい様だけど、親父と知り合いで俺も颯人の親も頼り無いから、気にかけといて欲しいって頼まれてる。


血縁じゃないからって遠慮してはいるが、俺にあれやれこれやれと言ってくる。



「まぁ、期待はしてません。スマホを渡しますのでネット注文してください」


「おう」



とはいえ、何が良いんだろうか?


「お前何にした?」


「革のお手入れ道具セットですが」


……実用的で、こいつが選んだんだから結構良いやつなんだろう。嬉しいかは別として。


「迷うなぁ」


あいつがもらって嬉しい物ってなんだ?うーん……


「とりあえずちょっと趣味から外れそうな服でも送っとくかな!」


あいつ、シャツにチノパンみたいな地味な服しか見たこと無いし、色んなジャンルの上下セットで送ったろ!


「うわぁ、迷惑……」


高村がなんか言ってるけど無視!色々なものに触れて欲しいって叔父さんからの思いやりだ!


配達が誕生日当日には間に合わないけど、良いよな!


颯人、待ってろよー!


「では、スマホを渡してさっさとテキスト終わらせなさい」


「はい……」


俺の手からスマホを奪い、高村は出ていった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る